今月のCD/フランス、すごい!2016年09月27日 23時18分20秒

旧い録音はよりどりみどり、新しい録音はほとんど紹介されず・・・というのが市場の現実とあきらめかかっていましたが、その思いを一気に吹き払う、すばらしいCDが出ました。力を入れてご紹介します。

それは「夜の王のコンセール」と題する2枚組(ハルモニアムンディ)。少年ルイ14世(昨年没後400年)が太陽に扮して踊った有名な「夜の王のバレ」(1653年)の音楽を蘇生させたものです。

フランス・バロックはリュリから、とつい思ってしまいますが、これはリュリ以前。作曲家の名前がない、と思って調べると、何人もの合作なのですね。それなら平凡か、というとさにあらずで、目がさめるほど生き生きしていて、宮廷音楽の優雅が満載なのです。フランス、すごいなあ。

踊りと歌の趣向がまた、じつに凝っています。「夜」に始まり4つの「刻」を経て、最後に太陽(=ルイ14世)が昇る。それぞれの刻では、神話的人物がさまざまな愛憎の情景を繰り広げます。

となると、どうしても歌詞訳と日本語解説が必要ですよね。それがしっかり付いていて、情報価値十分。演奏(ドセ指揮、アンサンブル・コレスポンダンス)も絶品ですから、値段(8400円+税)も十分元が取れます。よくこれだけの冒険をしてくれました。敬意を表します。