私の年末年始2018年01月12日 08時14分08秒

皆様の年末年始は、いかがだったでしょうか。私には、外に出る仕事のない期間が、いつになく長くありました。

そこで決行したのが、片付けです。論文にかかり切りだった間に、あちこちで使ったCD、NHKから戻ってきたCDなどが積み上がってしまい、その都度探さなければいけない状態になっていたからです。

積み上がった1枚1枚をもとの場所に戻す、登録していないものがあれば登録する、というのは、とても根気のいる作業です。疲れたときにはできません。しかし、積み上がっているものを受け入れる場所がすでになく、その配列にも、仕事の現状からして不合理を感じるようになっていました。

そこで、これまで貯めに貯め、蓄えに蓄えたCDを、残りの人生の長さに照らして、大幅に削減することにしました。その主たる対象は、同曲異演がたくさんある著名曲。自分なりに基準を作って、万一必要になったらまた買おう、というぐらいの気持ちで行いました。

残したのは、もちろん仕事や勉強の上で必要なもの。音楽史、バロック、バッハとモーツァルト、オペラ、宗教音楽、希少なもの、そして現代音楽は、ほとんど残しました。

ケースなしのCDをぎっしり入れた袋群を寝室に並べ、棚の配置を転換。この作業を本へ、楽譜へ、書類へと広げていきたいわけですが、タイムリミットがやってきて、混乱を残したまま中断しています。再開は、相当先になりそうです。

なぜかというと、年明けから、博士論文を本にする作業に取りかかったからです。情報の集合体を読み物にするわけなので、分量を半減させ、内容を緊密化させるのが目標。字数に合わせて原稿を短くするのはいつもやっている作業でもあるので、すらすら進められるように思っていました。

ところが、そんなものではないのですね。何回も読み直しながら、少しずつ削るしか、方法はないことがわかりました。要するに、短い原稿に対してやることと同じです。

全体をにらみ、削除できる部分、簡略化できる部分に見当を付ける。実行に移して、文章を磨き直す。翌日、基準を上げて(=あきらめるところを増やして)同じことを繰り返す。このようにしてじりじりと減らし、目標はまだずいぶん先、という状況です。

その過程で、論文にミスや勘違い、改良すべき点があちこちにあることがわかってきました。口述試験は月末、完成形の提出もこれからですから、これは良かったです。

しかし、必要なのは時間です。論文追い込み期のような状況がいまふたたび現れているのですが、仕事のない時期はもう終わるので、長期戦に切り替えざるを得ません。そんなことが今の自分にできるのか、不安です。

2018年を迎えて2018年01月04日 00時17分35秒

皆様、明けましておめでとうございます。年賀状はこれから投函するところですが、こちらで先にご挨拶いたします。皆様のご訪問、たいへんにありがたく、今年もどうぞよろしくお願いします。

2018年の目標や仕事の計画を、あらましお伝えさせてください。今年の最大の目標は、提出した博士論文に基づいて(その成否はともかくとして)、《ヨハネ受難曲》に関する著作を出版することです。同時に、旧著『マタイ受難曲』の改訂版を準備します。ヨハネ研究を通じて得た知見を、マタイにも及ぼしたい、という思いからです。詳細については、進展をお待ちください。

《ヨハネ受難曲》に関する連続講座は、早稲田エクステンションセンター中野校で、春秋の通年でやることにしました。朝日カルチャーの横浜校では、モーツァルト講座を続けます。新宿校では、バッハのカンタータを系統立ててやろうかと考えているところです。今年のライプツィヒ・バッハ祭もカンタータがテーマですが、藝関連のシンポジウムと重ならないことがわかりましたので、朝日旅行社のツアーに参加することにしました。

合唱コンクールの審査は今年も入っており、全国大会も含まれています。積んできた経験をなんとか生かせれば、という気持ちです。

いずみホールの2018年度には、好きな方には驚いていただけるような勝負企画を準備しました。発表が楽しみです!

2017年を回顧する2017年12月31日 00時05分29秒

毎年自分なりの10大ニュースをまとめていますが、今年は順位でなく、時間軸で整理することにしました。もちろん1位は、博士論文を書いたことです。しかしそれ以外には、順位をつけることがむずかしいのです。

(1)この3月で、聖心女子大・國學院・ICUの非常勤講師を退任。大学での授業は、すべて終了しました。(ずいぶん前のことのような気がします。)

(2)6月10日に、藝術学関連学会連合のシンポジウムを神戸で開催。来年6月にもう一度開催して、会長を退任します。

(3)その翌日から、ライプツィヒ・バッハ祭へ。モンテヴェルディの《ヴェスプロ》が頂点をなす音楽祭を同行の方々と満喫し、その後、北ドイツの北海沿岸を訪れました。

(4)NHKの「古楽の楽しみ」、今年は音楽史を広く見る特集を多くやりました。もっとも印象に残っているのは、6月の聖母マリア特集です。

(5)6月に雄犬「陸」が死に、7月に雌犬「レーナ」がやってきました。バッハと同じ誕生日だけあって、勤勉・努力型の犬であると感じます。彼女が最近熱中していることがあり、またご報告します。

(6)9月、大阪のいずみホールで、「ウィーン・ムジークフェスト」を開催。実力派のピアニスト、ブーフビンダー氏の際立った存在感により、充実の催しになりました。

(7)10月上旬に博士論文「バッハの《ヨハネ受難曲》―その前提、環境、変遷とメッセージ」を完成、提出しました。審査は年明けになります。大詰めの8月、9月は机に向かって集中する日々でした。

(8)朝日カルチャーの仕事を新宿と横浜でたくさんさせていただきましたが、10月から早稲田のエクステンションセンターに出講、上智大学のシンポジウムにも参加しました。毎回配付資料を作成し、できるかぎり準備して臨みました。

(9)全日本合唱コンクール全国大会の審査員を、10月に大阪、11月に東京で務めました。至りませんが、熊本、新潟の県大会にも初めてお邪魔しました。

(10)12月10日、15年続けたすざかバッハの会の連続講義にピリオドを打ちました。子供の頃を過ごした千曲川沿岸を定期的に訪れ、ずいぶん命の洗濯をさせていただきました。

こうして回顧すると、今年も大切な年だったなあと思います。お世話になった多くの方々に、心より御礼申し上げます。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

綱渡りの仕事納め2017年12月25日 23時09分23秒

23日(土)が、今年の仕事納めでした。私が朝から緊張していたのには、2つの理由があります。1つは、午前中の朝カル新宿校の講座が、「光と闇(ないし影)」という分野横断の特別講座で、かなりのお客様が予想されたこと。もう一つは、午後に横浜校の定例のモーツァルト講座があり、時間内に移動できるかどうか、危惧されることでした。

新宿を12:00に終え、横浜を13:00に開始するためには、12:15の東海道線に乗車することが条件になります。過去に一度成功したことがありますが、カルチャーは駅から西、ホームは東端の1番線ですから、決死的に急がなくてはなりません。

とにかく、10時ぴったりに講座を開始することが先決です。しかし運が悪いのですね。中央線が事故で、しばらく止まってしまったのです。もう間に合わない時間でしたが最善を尽くそうと思い、動く歩道のところまで走りました。都庁に向けて3本の動く歩道があり、それでかなり時間を短縮できるのです。

ところがところが。この日は休日で、歩道が止まっているではないですか。ガックリきましたが、できるだけ急ぎ、なんとか5分遅れで開始することができました。

この日は、長調と短調の違いを、音階、和音、カデンツで学習し、その使い分けや相互乗り入れをさまざまな実例で鑑賞し、最後に、「短調を長和音で終える」ピカルディ終止の味わいを体得していただく、というメニュー。厄落としをしているので講座は快調に進み、質疑応答では、じつにたくさんの手が上がりました。

これはとても嬉しいことでしたが、必然的に移動が遅れ、横浜は結局13:10スタートとなって、延長で処理させていただきました。横浜の皆さん、ごめんなさい。

充実という点では、間違いなく今年指折りの一日。しかしものすごく疲れました。足をひきずって帰る姿は、人に見せられなかったです。

計算がたいへんで・・・2017年12月24日 15時33分10秒

今年の仕事も、大詰め段階。22日(金)は、NHK「古楽の楽しみ」録音の最終日でした。

番組の準備には、かなり手間がかかります。手間の度合いは条件によって異なりますが、まちがいないのは、専門から離れるにしたがってたいへんになること。最近のように「・・の歴史」といった企画を立てると、離れたところから出発せざるを得ず、課題が多くなります。

予備知識が少ないですから、どんな曲があるか、どんな録音があるか、というところから始まり、集まった素材から趣旨にマッチするものを選び、それらを時代を追って、あるいは地域を経めぐる形で、並べてゆく。枠組みは「54分40秒」。少し短くても終了テーマが肩代わりしてくれますが、超えてしまうとアウトです。

歴史を遡るほど曲は短くなるので、たくさんの組み合わせが必要になります。候補曲のどれとどれを組み合わせるかは、最初は音楽的な問題ですが、進むにつれて、足し算引き算という数学的な問題になってゆきます。

私が計算に強ければ、それもまた、シンプルな作業でしょう。問題は、私が計算に弱い、しかも日々弱くなっている、ということにあるのです。間違った計算を含む形で帳尻合わせをしてしまうと、曲を差し替え、解説を書き換えなくてはなりません。そしてそれが、いつもの作業なのです。

準備したCDを郵送した後、メールでディレクターに解説原稿を送ります。すると、その段階で計算間違いを指摘される頻度が、じつに高い。原稿に大ナタを振るって帳尻を合わせたのに、じつは前の形でよかったのだ、などということになると、目の前が暗くなります。しかしまた、「ジャケットには7分と書いてありますが、計ってみたら11分でした」、といったケースも、まれにあるのです。そうなるともちろん、根本的な再検討を迫られます。

今回もそうしたことが起こりましたが、なんとか3本を録音しました。目下、「変奏曲の歴史」というシリーズを準備中です。

終了後、サントリー芸術財団の忘年会へ。私は三宅幸夫さんの思い出話をして、献杯をするという役回りでした。最近はいつも書いたものを持つのですが、今回は紙に書くタイミングを失し、まあ大丈夫だろうと、ぶっつけで本番へ。

そうしたら、計画した話の段取りを思い出せず、2回、立ち往生してしまいました。やはり、書いておかなくてはダメですね、この歳になると。

立食の会合では飲みながら歓談に専念し、帰路ラーメンを食べるのが、いつものことです。この日もそうしようと思い、スイカのチャージをしてから地下鉄に乗りました。その結果財布が空になったため、銀行でお金を下ろしてからお店に入ることにし、吉祥寺で下車しました。

そうしたら、銀行のことなどすっかり忘れて、お店に入ってしまったのです。はっと気がつき、カードが使えるといいが、と、心でお祈り。レジでは案の定「うちはカードは取り扱っておりません」とのことで、うなだれた私はいったん店を出てお金を補充し、お詫びして支払いをしました。

こんなことばかり書いていますね。自分は果たして大丈夫なのかな、と思うことの多い、この師走です。

カラオケで懇親会・新宿篇2017年12月21日 22時53分52秒

20日(水)には、朝日カルチャーのオペラ・クラスとバッハ・クラス合同の懇親会が予定されていました。講座の終了後です。

ところが、新宿で降りる頃、財布がないことに気づいたのです。持たないで出てきた可能性大ですが、落とした、掏られたという可能性も排除できません。歯医者に持っていった金一封を持ち越していたので、お金は何とかなりそうでした。

講座修了後、幹事さんの予約しておいてくれたカラオケへ。ただし横浜のような純粋のカラオケではなく、パーティスペースを兼ねた、パセラというお店です。部屋がちょうどいい広さで話しやすく、「懇親会はカラオケで」という横浜路線が実証される形になりました。やっぱり懇親会、必要ですね!皆さんとの間がぐっと近くなり、楽しかったです。

終了後有志で、歌舞伎町のHeart Dinin'Bar &Kへ。このお店、いったん店じまいして、その後再開したと聞いていました。しかし訪問は初めてです。食事メニューが簡素化されたようですが、飲む空間として快適なのは相変わらず。お薦めできると思います。

帰路がぜん気になってきたのは、財布が家にあるかどうかということです。前話のままですから現金は入っていませんが、カードは何枚も。紛失したとすると、処理が面倒です。しばらく探しましたが見つからず、あきらめて就寝しました。

今朝捜索を再開したところ、思わぬところから発見し、ほっとしました。思わぬところというのは、灯台もと暗し、という意味です。暗さは相当で、やっぱり、老衰のきざしありのようです。

付記:Apple IDを使用してiCloudにサインインした、というメールが来ました。アカウントを保護するためにIDはロックされている、という文面で、「アカウント情報を見る」というリンクがあります。私がiPhone6でログインするはずはないのですが、誰かが悪用したのかと思ってリンクをクリックしたところ、セキュリティが搾取のサイトだと表示してくれて、事なきを得ました。皆さん、ご注意ください。

私、老衰?2017年12月19日 22時58分33秒

実話ですが、ありがちなことかどうか。

月曜日に歯医者に行く際、診察券の発見に手間取りました。名刺の間から無事発見し、近くの医院へ。ところが、保険証は提示できたものの、診察券が見あたらないのです。財布の中身を全部出して調べましたが、なし。発見はしたが、家に置いてきた、ということのようです。

なじみのお医者さんなので、大丈夫ですよということになり、チェアへ。その時シャツの胸ポケットに入れたかもしれないと思い至り、調べるとありました。保険証を出した財布に入っているとばかり、思い込んでいたのです。

治療の最中に、お金が足りるかどうか、不安になってきました。日曜日にCDを購入してお札がなくなっていましたので、仕事でいただいた交通費の封筒をもってきたのですが、入っている千円札は4枚だけ。微妙なところです。足りないときにどうするかのシミュレーションを頭の中でしながら、治療を受けました。

チェアに乗るさいメガネを外しましたが、終わったら見つかりません。どこかに置いたのですが、と言っても、ありませんというお返事。探しているとアシスタントの方が、ポケットではないですか、とおっしゃいます。たしかに、上着の内ポケットに入っていました。普通、ここにメガネは入れません(と思う)。

支払いは、3000円台でセーフ。しかし帰宅してみたら、日曜日にいただいたギャラが、ポケットに入っているではありませんか。心配する必要は、まったくなかったのです。

われながら失笑する一連の経緯ですが、歯医者さんサイドから見れば、いよいよこの人も、ということになりそうです。特定の「症」に、歩みを進めていなければいいのですが・・。

一つの区切り2017年12月09日 23時50分35秒

今週はコンサートに3つ行きましたが(うち2つが現代音楽)、主に時間を使ったのは仕事の準備です。朝カルのオペラ史には、欲張ってラモーを3コマ分取りました。しかし詳しいわけではないので、どこを鑑賞するか決め、情報をまとめるために四苦八苦。でもラモー、いいですね。同時期のイタリアに、かなうものはないと思います。

金曜日にはNHKの番組を3本取りました。放送は1月です。企画を「祈りの音楽」としたのはいいのですが、テーマにふさわしい音楽を集めるのに大汗をかきました。でもその過程で、いろいろな曲を知りました。

追われていたため、いつもは早めに送る須坂の資料を、いま作り終わったところです。明日が、最終回。ですのでいい形で終わりたく、2013~4年に勉強した《ヨハネ受難曲》の講義内容を、博論の新情報で補完することにしました。逆に言えば、こういうところで積み重ねたものが、博論の基礎になっているわけです。

私は今の千曲市で子供の頃を過ごしていましたので、その近くを抜けて須坂に行くのが、いつも楽しみでした。明日全力投球することで、将来へのご縁をつなぎたいと思います。

永生七冠になられた羽生竜王、たいしたものですね。いつも新しいものを勉強しておられるのが秘訣だというのは、間違いないと思います。将棋の世界でも、慣れた得意の戦法ばかりやるようになると、勝てなくなるように見えるからです。羽生さん、柔軟な方なのでしょうね。「かたくな」は困ります(笑)。

レーナちゃんの日常2017年11月12日 20時49分35秒

バッハと同じ誕生日(3月21日)のレーナちゃん(名前は「マクダレーナ」の略形)、当家に来て4ヶ月経ちました。人気の中心です。

いろいろなものを咥えては遊んでいますが、取ろうとすると取られまいとするのは、どの犬も同じでしょう。レーナも、その取りっこが大好き。咥えて逃げるのを追いかけて取りに行くと、うなり声を上げて威嚇します。令嬢扱いしているのに、その声と威嚇は獰猛そのもの。野生の血が騒ぐのでしょうかね。


特技はというと、靴べらのひもを解くこと。相当固く結ぶのですが、短時間で解いて、得意そうにひもを咥えてきます。そこでまた追いかけっこに(笑)。


真っ白、毛がふさふさ、優雅で敏捷というのが表向きの紹介。でもじつは、活発で気性の激しい犬のようです。どうぞよろしくお願いします(._.)



心ならずも2017年09月18日 23時34分16秒

台風に翻弄された連休になってしまいましたが、皆様、ご無事だったでしょうか。4島すべてに上陸は史上初ということで、天気図を見ると、歌詠み・久美さんお住まいのあたりを通過したように見えます。大丈夫でしたか?

私も無関係でいられなかったのは、今週のいずみホール/ウィーン・フェストが日曜日のスタートだったからです。コンサートの前後に大阪にやってくるような予報が続いていましたので、16日(土)の湯河原町民大学の後、そのまま大阪入りする案も考えていました。しかし朝発ちでも大阪に到達はできるだろうということになり、前日入りはなしに。

湯河原には、去年のコンサートに続いて呼んでいただきました。由緒ある町民大学の温かい雰囲気は、やはり格別です。温泉は人をなごませるんだなあ、と感じます。一風呂浴びて・・・はさすがにあきらめましたが、おいしいお蕎麦屋さんを見つけたので、また寄れる時があればいいなと思っています。

一方の大阪では、スタッフが何度も会議を開いて、台風対策を練っていました。天候によっては飛行機が飛ばない可能性もあり、むずかしい選択だったようです。結果として、土曜日お昼の時点で、コンサートの月曜日への延期が決断されました。自然には勝てませんので、やむなくの安全策。皆様にはご心配をおかけして、すみません。

コンサートは本日実施され、演奏がすばらしかったという情報を、複数の筋からいただいています。ブーフビンダー氏の演奏、木曜のトリオ、土曜日のコンチェルトとありますので、ぜひお出かけください。

私自身は月曜日に東京で重要かつ大切な用事があり、延期に対応できませんでした。これについては、次話でご報告します。