叙唱 レチタティーヴォ2017年04月24日 23時48分26秒

タイトルは、阿部久美さんの歌集続編です。六花書林から、「第3歌集」として発売されました。

タイトルから予想されるように、今回の歌集には久美さんのクラシック音楽好きが、至るところに反映されています。不肖私の放送も、「残響」というコーナーで、歌にしていただきました。以下に引用します。

    NHK-FM「古楽の楽しみ」礒山雅氏が

たましひとぢかに通へるほそき道ありてたどるはフルートの音と

(たくさんの歌たちの中から、今回も私撰により5編をご紹介します。)

    「やがて、はなれて」のコーナーから

察するに切りだしかねてゐる人か真紅の花にまづ触れており

    「あなたに、あなたへ」のコーナーから

日の暮れを律儀にしぼむ花ありてこの世の何をうたがふべきや

    「独奏〈ソリテリー〉」のコーナーから

心地よい眠りは来るよ下手から芝居の幕を引くやうにして

日の暮れにさへづる鳥としたしみて家路は細き石みちがよき

あのときの凍える言葉を解きたれば傘さすほどもない雨に似る

(私撰の感想)
久美さんの歌は多様で、奔放なもの、自在なもの、口調の勢いを生かしたものなど、いろいろです。私が選んだのは、どうやら流れよく自然なものに集中しているようで、久美さんの歌への専門筋の評価とは違っているかもしれません。「私撰」ということでご容赦ください。

(付記)最後の歌は、私のよくする経験でもあります。