古稀の心境を問う2017年02月06日 22時55分52秒

「たのくら」の30周年パーティで、クイズをしました。題して、「古稀記念クイズ」。最近の私の心境を、クイズ仕立てにしたものです。

10問出しましたが、9問当てた人が1人いたのには驚きました。8問が1人。半分当たるかどうかが、だいたいのところだったと思います。正直な設問ですが、外れて欲しいと思って出題しています(笑)。最後の3問をご紹介しますので、よろしければ、考えてみてください。コメント歓迎します。

〔第1問〕
今までの人生で一番苦労したと思っていること
 1.外国語の習得
 2.締め切りの遵守
 3.会議への出席

〔第2問〕
今、世に実在すると思うものは
 1.聖女
 2.安息
 3.縁

〔第3問〕
あるといいなあと思うものは
 1.タイムマシン
 2.若返り薬
 3.人生を終えるスイッチ

たのくら30周年2017年02月04日 23時34分42秒

先月の21日(土)になりますが、立川でやっている「楽しいクラシックの会」の30周年記念パーティがありました。月1で、30年。それだけでも「よくまあ」と思いますが、ここがすごいのは、パーティのたびに、記念文集を作っていることです。なんと5冊目。170ページにわたって、会員のエッセイや記録、写真などが載っています。


こういうことができるのは、会が上からではなく、下からの運営をしているため。会員がみな持ち回りで役職を担当し、わけへだたのないコミュニティが形成されているのです。私も、一番くつろいでお話しできるのがこの会です。

パーティも会員の熱心な準備で実現され、盛りだくさんのプログラムでした。一流ホテルで行われ、いとも盛大でしたが、ホテルの誘導があったせいか、お行儀のいいイメージの会になったのが、個人的には残念。今度は絶対、砕けてやりましょう。その目標もできましたので、とりあえず35周年を目指して、いい会にすべくがんばります。

そのおり、「古稀クイズ」というのをやりました。その中から選んで、皆さんにも出題します(次回)。

今月の「古楽の楽しみ」--シュッツ(日にち修正済み)2017年02月03日 00時31分46秒

宗教改革特集で開始された、私担当の「古楽の楽しみ」。2月はその続編で、シュッツです。コラールとその編曲という庶民路線で始まった、ルター派地域の音楽。そこに芸術的な高踏性をもたせたシュッツは、初期バロックの偉大な存在です。

シュッツの特集は4年ぶりですが、今回は、前回とダブらないプログラムを基本にしました。シュッツの作品はすべて声楽ですから、一息ついていただくべく、シャインとシャイトの器楽曲を含めました。したがって、初期バロック「3S」の特集としても聴いていただけます。

第1日(13日、月)は、《ダビデ詩篇曲集》から3曲(ラーデマン)と、《小宗教コンチェルト集Kleine Geistliche Konzerte》の、第1巻から3曲、第2巻から2曲。前者はレミー指揮、ミールツ他の新しい演奏ですが、第2巻には1960年代のマウエルスベルガーの演奏を使ってみました。ソロがシュライヤーとアダムで、両大歌手がシュッツを基礎にして出発していたことがよくわかります。小編成の渋い曲を、じつに粛々と演奏しているのです。

第2日(14日、火)は、《シンフォニエ・サクレ》全3巻から抜粋しました。器楽の華やかな、カンタータ風の音楽です。演奏は第1巻がウィルソン、第2巻がメッソーリ、第3巻がユングヘーネルです。一番聴きやすい日だと思います。

第3日(15日、水)は、最高傑作と言ってもいいであろう《宗教合唱曲集Geistliche Chormusik》と、晩年の作品。演奏はラーデマンで進め、最後の《マニフィカト》を、クイケンで出します。

第4日(16日、木)は、未使用素材という枠を外し、シュッツ入門には最適の《十字架上の七つの言葉》で開始しました。今回の演奏は、ユルゲンス指揮の歴史的名盤です。イエスのエグモントと、オルガンのレオンハルトがすばらしいです。

シュッツは、気に入った聖書の歌詞を何度も作曲する傾向があります。マニフィカトもそうでうが、シメオン賛歌〈主よ、いまこそ私を〉も、劣らずです。これを3曲聴き、《音楽による葬儀》の同曲で、締めくくることにしました。そこではこのテキストが、シュッツの好きなもう一つのテキスト、「死者は幸いである」と結びつくのです。演奏は、ザ・シックスティーンです。

最終形を獲得するまで、かなりの試行錯誤を強いられる企画になりました。今回、4回のうち2回を新人ディレクターが担当したのですが、彼女がニュー・グローヴのシュッツ項目をコピーし、カラー・マーカーでびっしり勉強しているのを見て驚嘆。努力は人生で一番大切なものだと思いますし、けっして嘘をつかないものです。すばらしい戦力を得て、いい番組を作りたい気持ちがますます強くなりました。

お詫びとご連絡2017年01月31日 23時54分30秒

2月1日の朝日カルチャーセンター新宿校のバッハ講座、内容をリュート&ギター曲とご案内していましたが、ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番BWV1027に変更させていただきます。突然の変更でご迷惑をおかけいたします。申し訳ございません。

2月のイベント2017年01月31日 11時07分41秒

1日が水曜日なので、2月は朝日カルチャーセンター新宿校からスタートです。10:00~12:00のモンテヴェルディ講座は、歌劇《オルフェオ》の後半。13:00~15:00のバッハ新録音紹介・聴き比べの講座は、リュート&ギター作品です。

15日(水)の同講座は、モンテヴェルディが《聖母マリアの夕べの祈り》。本当は「オペラ史初めから」という講座なのですが、モンテヴェルディ・イヤーでもありすばらしい新譜も出たということで、《ヴェスプロ》をもぐりこませました。3月までの3回でやります。バッハはプレリュードとフーガ変ホ長調BWV552(オルガン曲)です。

5日(日)は、須坂のワーグナー企画(駅前シルキーホール、14:00~16:30)。いよいよ《神々の黄昏》(その1)です。7日には学士会館で朝日旅行社主催の公演があります。これは、ライプツィヒ・バッハ祭に向けてのもの。10:00〔10:40より修正〕からですが、詳細は同社のホームページでどうぞ。

11日(土)の楽しいクラシックの会(立川錦町学習館)は「聖女と悪女の選択ーービゼー≪カルメン≫その1」と題して行います。時間が30分早まり、9:30~11:30になっていることにご注意ください。理由はもちろん、私のダブルブッキングです。すみません。

すぐ移動して、13:00~15:00が、朝日カルチャーセンター横浜校のモーツァルト講座です。1784年のピアノ協奏曲6曲(第14~19番)の、その1となります。25日(土)がその2です。今月は2回になっていますので、ご確認ください。

いずみホールのシューベルト企画、今月は強力なものが2つ登場します。18日(土、16:00~)のマーク・パドモア(テノール)+ティル・フェルナー(ピアノ)の《美しき水車小屋の娘》と、28日(火、19:00~)の、イザベル・ファウスト、ジャン=ギアン・ケラス、アレクサンドル・メルニコフのトリオです。曲はピアノ三重奏曲第1番(+シューマン、カーター)。詳細はこちらで。アドレスが変わっています。http://www.izumihall.jp/

今月もよろしくお願いします。

コンテストで気づいたこと2017年01月30日 07時25分50秒

コメントに激励をくださった方々、感謝です。1月が思った以上に過密スケジュールになりましたが、日曜日に合唱コンクールを乗り切ったことで、ペースを取り戻せそうです。

正確には、コンクールでなく、「コンテスト」。20名以内、ピアノなしという室内編成が条件です。出演者にとってはいい勉強になるでしょうし、私自身にとってもありがたい形です。

始まるとコメントを書きまくりになるわけですが、その過程で、程度の差こそあれかなりのアンサンブルに共通の、一つのことを認識しました。

それは、ソプラノが和声作りに参加していない、ということです。ソプラノは指揮者に向けて一心に旋律を歌い、和声は下の声部にまかされる、という形に、多くのアンサンブルがなっているのですね。

でもそれでは、本当の和音は響きません。ソプラノが和音を聴き、自らもその担い手となって、旋律を歌っていなければならないのです。それだけで、和声はずっと生きてくる。先日ご紹介したザ・シックスティーンなど、いいお手本です。

埼玉県スタッフの配慮行き届いた(←すごい)サポートの中で、ハイテンションで1日を過ごします。すると帰路は、気持ちの興奮と身体の疲労が同居する状況になるのですね。家に帰るのも面倒になってしまいましたが、どうせならどこか新しいところで夕食を食べようと思い、東北本線を京浜東北に乗り換えて、川口で下車しました。

私は昔蓮田と大宮に住んでいましたので、京浜東北沿線は気持ち、縄張り。でも川口はまったく久しぶりで、予想どおり、全然違っていました。食べ物屋には困らないところと観察しましたが、食事は「千吉」のカレーうどん、辛口・ご飯付きを選択。食後感が、じつに爽快でした。今日から、新しい気持ちでやります。

どう書くべきか2017年01月27日 22時41分56秒

更新が間遠になっています。1月のスケジュールが思ったより負担で、毎日間に合わせるのが精一杯という事情があるのですが、ブログに何をどう書くべきか迷っているということも事実で、それについて一端をお話しします。

毎月のイベントはあらましご案内していますが、その結果報告は、必ずしもしていませんよね。どうにも余裕がなく過ぎてしまった、ということもありますが、どう書くべきか迷っているうちにタイミングを失った、というケースも少なくありません。

講演講座にしろ、企画したコンサートにしろ、私はいろいろな方にお世話になります。ですので、その感謝をブログで申し上げるのは、大切なことだと認識しています。このブログにイベントがどう載るか楽しみ、とおっしゃる方もいらっしゃるのです。

しかし、良かった良かった、ありがとうございます、と書くだけでは、読む方は面白くないですよね。私も、形作りは性に合いません。

となると、現場を覗けるようなエピソードとか、苦労話、残された課題、といったことを率直に交えていく必要があります。でも、お世話になった立場としてそれを書いていいものかどうか、私には懸念があるわけです。

それが気になって書かないでいると、今度は、そのイベントに対して私がネガティブであった、と推測される方も出てきそうです。そういうこともないとは申しませんが、大きな意義に対して小さな懸念が先に立つ、という方が多いかと思います。

どちらが大事か。私はブログを宣伝媒体と割り切っているわけではありませんので、やはり読みに来てくださる方にいろいろなことをお伝えし、楽しんでいだだくことが大事だと思います。ですので、立場にとらわれすぎず、柔軟かつ正直に書いていくことを、しばらくやってみようかと思います。1行だけの更新も、あるかもしれません。

2つの終わり2017年01月23日 22時28分14秒

大学の仕事が、終わりつつあります。20日(木)は、國學院が終了。ここは後期にピンチヒッターで入り、前年と併せて3学期でしたので、来られてよかったな、ありがとう、とは思いつつも、淡々と別れることができました。

その点、今日23日の、聖心女子大は違いましたね。中断はありましたが長期間通い、卒業後弟子となってくれた人もいますので、思ったより、終了後の感慨が大きかったです。

高台にありますから、かなり登る。着いてから3階の研究室まで、また上りです。たいてい急いでいますから、息が切れるようになりました。

授業は別校舎なので、聖堂やマリア像のある廊下を抜けて移動します。授業も、キリスト教学、キリスト教音楽共通の単位ですから、聖書研究の色彩を濃厚に加えながら、用意していました。補佐してくださる副手が、この大学であればこその、マリア様のような方。眼福をいただきました。

受難音楽という切り札を切り、最後を《パルジファル》で終えることができたのがなによりでした。帰り道、キャンパスの美しさと気品をしみじみ感じながら、目に焼き付けました。まだ、レポートの採点が残っています。

感動の《ヴェスプロ》!2017年01月22日 00時29分23秒

モンテヴェルディの《ヴェスプロ》(聖母マリアの夕べの祈り)が私の無人島の1曲であることについては、折にふれてお話ししてきました。そのすばらしい新譜が出たことがうれしく、毎日のように聴いて、涙しています。

演奏は、ハリー・クリストファーズ指揮のザ・シックスティーン。2枚組のCDに、「マントヴァのモンテヴェルディ」と題するDVDが付いています。

《ヴェスプロ》が作曲されたのも《オルフェオ》が初演されたのもマントヴァ時代ですが、今までマントヴァをこれほどクローズアップした映像はありませんでした。《ヴェスプロ》がどんな歴史と文化の中で生み出されたのかがよくわかる、貴重にして美麗な映像です(英語だけなのですが、映像と音楽で十分だと思います)。クリストファーズがこの作品に心から感動していることが、いくつかのシーンから伝わってきます。

演奏風景からわかることは、ザ・シックスティーンの主要メンバーがすぐマドリガーレを組み、お互いを聴き合いながら血の通った重唱をできるだけの能力をもっている、ということです。《ヴェスプロ》もこうしたマドリガーレ・ベースで、自発性のある繊細なアンサンブルが展開され、心に染み入る感動を届けてくれます。

時を同じくして、ガーディナーがヴェルサイユ礼拝堂で録画したDVDも発売されました。比べてどうですか、というご質問があるでしょうから、私の個人的な感想を述べておきます。

以前、ガーディナーの《ロ短調ミサ曲》新録音に、えっ、どうしちゃったの、という感想を抱いたことを書きましたね。その後、ライプツィヒで《マタイ受難曲》を演奏者席で聴き、精力的な指揮ぶりに圧倒されたことも書きました。今回の《ヴェスプロ》も、えっ、どうしちゃったの、というのが第一印象。ではガーディナーが精彩を失っているかというと、画面には、音楽のすべてを体現するような精力的な指揮ぶりが映っている。それはまさに、私がライプツィヒで見たものと同じなのです。

私の中では、これで3つがつながりました。個人的な意見ですが、モンテヴェルディ合唱団の水準がかつてほどでなく、それを指導的に引っ張るためにことさら大きな指揮になり、それがかえって、演奏の自発性を失わせているのではないでしょうか。「笛吹けど踊らず」という言葉がありますが、指揮者が振りすぎるのは、古楽ではやはり疑問。私なら、温かく感動のこもったクリストファーズの演奏をお薦めします。

今年のライプツィヒ・バッハ祭2017年01月18日 23時36分01秒

厳しいスケジュールをなんとか乗り切ったところで、今年のライプツィヒ・バッハ祭旅行をご案内します。私の失態が繰り返されてきたこの旅行。行ったらたいへんなことになるぞ、と思われる方がいらしても仕方ないのですが、同行された方とは親しいお付き合いが続いたりもしておりますので、謹んでご案内申し上げます。

今年のプログラムは特別で、どう切り取るか、苦労しました。というのは、モンテヴェルディ生誕450年をライプツィヒの人たちがたいへん重んじているらしく、《オルフェオ》(サバール指揮)、《聖母マリアの夕べの祈り》(ピション指揮)の両名作が、音楽祭の中央に、ドーンと座っているのです。

これをパスしてバッハだけにすることはできませんし、そうしたらかえってつまらない。ということで、今年はこの2曲をメインに、宗教改革にまつわるバッハのカンタータ(ガーディナー指揮)と、聖トーマス教会のメンバーによる《ヨハネ受難曲》(シュヴァルツ指揮)を鑑賞する、というプログラムにしました。《聖母マリアの夕べの祈り》の裏には、アンドラーシュ・シフのバッハ・コンサートがあります。でもそれは日本でも聴けるでしょうから、むしろ今年はモンテヴェルディを聴いていただきたい、というのが私のご提案です(シフに行かれても結構です)。

ツアーには遠足がつきものですね。今年は、それをオプショナル・ツアーとして独立させ、充実させました。2つあります。1つは、ドレスデン近郊のフライベルクにジルバーマン・オルガンを訪ねるもの、もう1つは、バッハの成長の地テューリンゲン(アイゼナハやアルンシュタット)を、ルターの家と併せて訪れるものです。アイゼナハはまだ、という方も案外いらっしゃるのではないかと思い、初めて企画しました。

いつも皆様とビールやワインを飲むのが楽しみですが、宿泊する星5つの「シュタイゲンベルガ-」というホテルには、夜2時までやっているバーがあります。値段もたいへんリーズナブルです。

詳細は、朝日旅行社のホームページをご覧下さい。http://www2.asahiryoko.com/djweb/TourDetail.aspx?tc=S27636170000

ご参加をお待ちしています。

【付記】期間中ライプツィヒでは、朝の礼拝から夜のコンサートまで、至るところにバッハがあります。ですので、自分のアレンジでたくさんのコンサートを聴くことが可能です。わりと高額のコンサートが今注目のアンサンブルであることもあれば、プログラム代だけで聴けるコンサートが大満足、ということもあります。