15日(水)朝日休みます2015年07月14日 17時57分02秒

カルチャーから受講生の方にはご案内があるはずですが、15日(水)朝日カルチャーセンター新宿校のワーグナー講座とバッハ講座、お休みさせていただきます。風邪はかなり回復してきましたが、まだ本調子ではなく、16日(木)から復帰することにしました。ご都合をつけてくださっていた方々、申し訳ありません。

ついにパンク2015年07月12日 18時42分30秒

こういう毎日でいつまで身体がもつか、と思っていましたが、もちませんでした。

金曜日の夜に、風邪の兆候を感じました。土曜日の朝になるとはっきりしてきていて、体調下降が鮮明に。週末は中新田バッハホールに出かけ、土曜日がレセプション、日曜日がシンポジウム。ともあれ、レセプションは休ませていただき、日曜日のシンポジウムを日帰りすることにしました。

しかし日曜日の朝も熱があり、身体が動きません。そこで発言の原稿だけお送りし、シンポジウムは欠席しました。今月一番大事な仕事だと言っていたのに、とんだ結果となり、先方にはたいへんなご迷惑をおかけしてしまいました。

よくこれだけ寝られるなと思うほどこんこんと寝て、まだ熱はありますが、少し上向きになってきたところです。こういうスケジュールがいつまでも続くはずがないことは目に見えていたので、仕事の範囲を見直さなくてはなりません。無気力に寝ている状態だと、こういうお仕事はもうやめようか、こういう依頼はお断りしようか、というアイデアが出やすくなります。

貢献率という数字を考えてみました。いただく仕事は全部ありがたいのですが、専門性などの観点から私がとくにお役に立てるものと、そうでもないものがあります。後者は少なくとも広げないようにしよう、と考えました。仕事の貢献率を、トータルで高めたいと思います。

夢と現実2015年07月09日 07時03分53秒

6月20日に帰国したというのに、時差がいまだに治りません。今日こそ寝られると思って寝ても、2時間ぐらいで、ぱちっと目が覚めてしまう。起きても能率良く仕事ができるわけではないですから、たいへん困ります。当然仕事に遅れが生じ、まだ、6月中にやるべきだったことに取り組んでいる状態。それがさらに遅れつつあるという循環なので、いつ取り返せるかわかりません。

何か、対処の仕方があるはずです。ある人によれば、日本に帰ってきてまずゆっくり寝るべきだった、そうしなかったから尾を引いているのだ、とのこと。どうなんでしょうね。

時差と夢に関係があるのではないか、という気もしてきました。ライプツィヒでひどい夢を見たというお話はしましたが、おとといの夜に、内容は違うがやはりたいへん不快で重い夢を見ました。妙に後に残ったものですから、積極策か慎重策かで迷っていたある仕事を、慎重策で対処することに。占い師じゃあるまいし、とも思いますが・・・。

今日の夢は、存じ上げてはいるが親しくはないある目上の方と、お話ししている夢でした。悪い夢というのではないが、なぜ見るのか、とても不思議な夢。夢と現実は、どういう関係にあるんでしょうね。夢こそ真実で現実が虚構だ、という考え方を、昔読んだことを思い出しました。『浜松中納言物語』についてだったと思います。

7月のイベント2015年07月06日 23時22分14秒

今頃すみません。今月特記すべきイベントは、12日(日)宮城県加美町の「中新田バッハホール」で催される、「音楽のまちづくりシンポジウム」かもしれません。13:00からオルガンの演奏で始まり、アイゼナハのバッハハウス館長、イェルク・ハンゼン氏の祝辞、茂木健一郎さんの講演などがあり、私が14:50~16:30のパネルディスカッションを主宰します。パネリストはハンゼン氏、バッハホール管弦楽団音楽監督の金澤茂さん。バッハの音楽の魅力を語り、地域の音楽文化振興の可能性を論じるような形にもってゆくつもりです。

もうひとつは、朝日カルチャーセンター新宿校のレクチャー・コンサート第2回。プログラムはバッハ 無伴奏チェロ組曲の第1番、第3番で、若手というにはすでにあまりにも立派なバロック・チェロ奏者、山本徹さんが出演されます。18日(土)、16:00~17:30ですのでお見逃しなく。

あとは、継続の諸講座です。朝日カルチャー新宿のワーグナー講座、バッハ/リレー演奏講座はすでに1日(水)にありましたが、今月はもう2回、15日(水)、29日(水)にあります。10:00~12:00のワーグナー講座は《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕がテーマ。13:00~15:00のバッハ/リレー演奏講座のテーマは、15日が《コーヒー・カンタータ》、29日が《平均律第1巻》です。

18日(土)10:00~12:00は立川楽しいクラシックの会。「21世紀のパーセル《ディドとエネアス》~悲しすぎるオペラ」の第2回です。25日(土)の朝日カルチャー横浜校モーツァルト講座は、弦楽五重奏曲を取り上げます。ジャンルの総論+変ホ長調K.614の各論、で考えています。

以上、今月もよろしくお願いします。

今月の「古楽の楽しみ」(1)2015年07月04日 23時01分28秒

今月は、出演が2回あります。6日からがバッハのパルティータ、27日からがヘンデルのオペラです。直前になりましたが前者についてご案内します。これは、バッハの6曲のパルティータをピアノとチェンバロで、1人1曲限りとして聴いていこう、という企画です。

6日(月)。第1番変ロ長調BWV825はピリス(ピレシュ)のピアノ、第2番ハ短調BWV826はレオンハルトのチェンバロ。残った時間には、若手ピアニスト、イーゴリ・レヴィットによる第2番抜粋を充てました。

7日(火)。第3番イ短調BWV827は、シフ(ピアノ)の2007年ライヴ。初稿のメヌエットを、ベーリンガー(チェンバロ)で比較しました。第4番ニ長調BWV828は、シュタイアー(チェンバロ)です。

8日(水)。第4番の抜粋をピアノで、第5番をチェンバロで、と計画しましたが、第4番のフランス風序曲をそれらしく演奏しているピアニストはとても少ないことを発見。結局、ペライア2007を選びました。第5番ト長調BWV829はクリストフ・ルセ(チェンバロ)の、若い頃の録音で。

9日(木)。第6番ホ短調BWV830は、これが最高傑作、と断言しておられ、録音にも力が入っている渡邊順生さんのものを(チェンバロ)。ピアノによる抜粋にアンデルジェフスキを使い、残り時間を、最初期の作品《プレリュードとパルティータヘ長調》BWV833の紹介に充てました。これはロバート・ヒル(チェンバロ)の演奏です。

5人のピアニストと、6人のチェンバリストが登場します。いろいろな演奏を聴くことで、パルティータの世界の広さを実感しようという趣向です。やっぱり、6曲ともいい曲ですね~。ベートーヴェンの交響曲と逆で、規模からすると偶数番が優勢、しかし奇数番もまことに捨てがたい、と感じました。

6月のCD~シフのシューベルト2015年07月02日 16時07分50秒

押せ押せになっております。

6月のCD特選盤は渡欧前に選んだものですが、アンドラーシュ・シフのシューベルト・ピアノ曲集(ECM)です。2枚組で、ピアノ・ソナタ第18番ト長調と第21番変ロ長調、楽興の時、即興曲 op.142などが収録されています。

とてもくすんだ響きで始まりますが、これは、フォルテピアノ(ブロートマン1820年)が使われているから。じっと耳を傾けていると、あたかも「洞穴のような深い奥に向けて、計り知れないほど多様な響きが、霊的なニュアンスを帯びて」広がっていることがわかります。

こうした深く幽玄な響きを、私はかつてフォルテピアノから聴いたことがありません。さすがにシフ。「改宗の告白」というエッセイを読むと、この楽器でこそ表現できるシューベルトの世界が熱く語られています。プラス、シフだからこそできる、です。たいへんな境地に到達したものだと、戦慄さえ覚えます。

帰国後の活動から2015年07月01日 05時52分58秒

20日(土)に関空に付くと、そのままいずみホールへ。その日はバッハ・オルガン作品全曲演奏会の当日で、ステージに間に合わせることが、絶対条件でした。とぼとぼ歩きで、リハーサルへ。出演者は小柄な韓国女性、오자경(オ・チャギョン)さんです。

到着と並んで心配だったのは、バッハゆかりの教会でオルガン・コンサートを聴いてきた自分が、日本のコンサート・ホールのオルガンに失望しないだろうか、ということでした。演奏者がアジア人だけに、なおさらです。

しかしそれは、杞憂でした。♯調の曲を集め、それらが「バッハ好みのロ短調」に向かっていくという選曲の構想をオさんは見事に踏まえてくださっていて、基礎のしっかりした音楽性で、潤いのある演奏をされたのです。とりわけ最後のロ短調フーガは、正確無比のテンポの上にフーガが端正かつ壮大に築かれ、まさに大伽藍の趣きでした。

韓国の古楽事情は日本より20年遅れているとおっしゃっておられましたが、こういう正統的な方が指導的地位にあるのなら、着実に成長することでしょう。彼女の存在を本当はわれわれが知るべきなのに、ヴォルフ先生から教えられるとは。シリーズの視野が、世界にもうひとつ広がったコンサートでした。

日曜日からもイベントだの、授業だのが連なっていて休めません。トピックを申しますと、日本モーツァルト協会におけるピアノ協奏曲論が、26日で終了しました。3月のピアノ教育連盟講演を基礎にし、さらに調べを加えて全協奏曲をたどったのですが、おかげでたいへん勉強になり、諸作品がそれぞれ、内包する方向性や工夫とともに、個性的所産として眼に映じてきました。よき聴き手を得て、勉強したなあという実感のもてる講演でした。

でもどうやら、バッハに集中するタイミングを失ったようです。モーツァルトの仕事も、結局継続してゆくことになりそう。ともあれいま先決なのは、いまだどっぷりとはまっている時差を解消することですが。

ヨーロッパ真摯の旅2015(17)--写真の補い2015年06月29日 23時24分41秒

かくして、19日(金)にフランクフルト空港で皆さんとお別れし、20日(土)の朝、関西国際空港に到着しました。この日いずみホールのコンサートでステージに乗ることになっていましたので、こちらに降りました。湿度の高さにびっくり。

失敗もかつてなく大きかった旅行ですが、コンサートがいずれもすばらしく、同行者にも恵まれて、充実度のたいへん大きな旅行でした。それを支えてくれたのは何といっても朝日サンツアーズの行き届いた目配りと、エース級の添乗員、叶谷真起子さんの献身の賜物だと思います。もしまた次の企画ができるようでしたら、皆様のご参加をお待ちしています。

掲載できなかったポーランドの写真、いくつか補っておきますね。


観覧車の上から、グダンスクの市街地と運河を見下ろす。


ワルシャワ旧市庁舎の塔に登り、ポーランド第一の河川、ヴィスワ川の流域を見下ろしたところ。


ワルシャワ聖アンナ教会のオルガン。


クラクフの中央広場、食事に入ったレストランから。ウェイトレスさんがとてもチャーミングで、いい食事ができました。


クラクフの公園。緑が豊かです。


ヴィスワの河畔から、ヴァヴェル城を望む(クラクフ)。今回一番気に入ったスポットで、しばらく昔を偲びました。


ヨーロッパ真摯の旅2015(16)--《ヨハネ》第2稿を見直す2015年06月28日 23時57分12秒

18日(木)夜は、聖ニコライ教会で、旅行最後のコンサート。《ヨハネ受難曲》第2稿を、ヘレヴェッヘが指揮しました。これがまた、とても良かったのですね。

コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの声楽が、まずすばらしい。音楽をしっかり見据えた、大人のアンサンブルです。モンテヴェルディ合唱団が外へ向けてあふれ出る傾向があるとすれば、こちらは、内面に成熟する傾向。しかもドロテー・ミールツ(S)、ダミアン・ギヨン(CT)、ゼバスティアン・コールヘップ(T)、ペーター・コーイ(B)という錚々たる顔ぶれがコンチェルティストとして入った、ぜいたくな16人です。それをヘレヴェッヘが並々ならぬこだわりをもって指揮し、コンサート・ミストレスのクリスティーネ・ブッシュが、表情豊かにオーケストラを引っ張ってゆきます。

私は《ヨハネ受難曲》の第2稿に、これまで抵抗を感じていました。アリアにどうしても唐突感があり、最後のコラールも、重すぎるような気がする。でもそれは、演奏のせいでもあったようですね。ヘレヴェッヘは従来から第2稿を演奏しており、すっかりそれに習熟しているので、入れ替えられたアリアや合唱曲が、「こうでなければならない」と聞こえるまでになっているのです。こうして聴くと、コラール・カンタータ創作の知見を盛り込んだ受難曲という最近の考え方も、なるほどと思えます。

イエス役のフローリアン・ベッシュは音域といい歌い振りといい、《ヨハネ》の超越的イエスにぴったり。エヴァンゲリストのトマス・ホッブスは堂々たるスケールの歌唱で、大成功の立役者でした。向こうで受難曲を聴くと、エヴァンゲリストが有名無名を問わず、揃ってうまいことに感心させられます。

でも、現段階では張り切りすぎなのですね。エヴァンゲリストは、「・・は言った」という風に、話を振らなくてはならない。話を引き立てるには、こんなに美声で立派に歌ってしまってはいけないのです。習熟して2、3割控えて歌えるようになれば、大福音書記者になる人だと思います。

ヨーロッパ真摯の旅2015(15)--掘り出し物2015年06月27日 22時41分14秒

「ニーチェの家」の観光も済ませ、バスはナウムブルクからヴァイセンフェルスへ。ここまで来て、寄らない手はありません。バッハが《狩のカンタータ》を初演したとされる「狩の館」(イェーガーハウス)がレストランになっていて、そこで昼食。最近は、苦いピルツよりふくよかな白ビールが好みです。おいしい。

ヴァイセンフェルスは妻アンナ・マクダレーナの出身地で、バッハも「宮廷楽長」の肩書きをいただいていたほど懇意なところです。その新アウグストゥス城は牛歩のごとく改装中でしたが、別団体に便乗して、運良く城館礼拝堂を見学することができました。天井近くにしつらえられたこのオルガンで、ヘンデルは才能を見出されたのだそうです。バッハも演奏した記録があるとのことでした。


ヴァイセンフェルスはシュッツが子供の頃住んでいたところで、家も残っています。今回は寄れませんでしたが、《白鳥の歌》の楽譜が城館の壁に描かれていて、目を引きました。


皆さんが聖トーマス教会聖歌隊のカンタータ・コンサートに行かれた夜。私はなにしろ夢の疲れがあり、ホテルで休養しました。最後の18日(木)になり、ようやく、市街へ買い物に。

CDだの文献だのを仕入れましたが、本当の目標は、古本屋に出ている神学書でした。バッハ時代の聖書解釈書でも出ていたらいいなあ、と思い、数件を回りました。どの古本屋さんにも、小さいですが、神学書のコーナーがあります。

最初の本屋さんに、表紙に書名もないまま埋もれている1冊がありました。開いてみてびっくり。それはバッハの宗教蔵書に含まれている、17世紀初めの神学者ヨハン・アルント著『真のキリスト教』の増補版だったのです。バッハの宗教蔵書を読みにヴォルフェンビュッテルの図書館に行くのが私の研究ですから、1冊手持ちできるのは願ってもないこと。多少の出費は厭うまい、と心に決めました。


すると、値段は24オイロで、3000円ぐらい。一桁違うように思えましたが、無事手に入れることができました。この旅行すなわち「真摯の旅」、最高の収穫です。