今月の特選盤2014年10月25日 23時04分53秒

今日、25日から朝日カルチャー横浜校のモーツァルト講座が出発しました。いいスタートが切れてほっとしているところです。

で、今月のCD。私の特選は、ジャン=ギアン・ケラスとアレクサンドル・メルニコフによるベートーヴェンの「チェロ作品全集」です(ハルモニアムンディ)。5つのソナタと3つの変奏曲が入った2枚組です。

20世紀のチェロがロストロポーヴィチの時代だったとすれば、21世紀はケラスの時代。雄大、豪快な方向で存在感を高めたチェロが、今は小さい方向を向き直して、そこに優美と瀟洒を発見している。古楽の波と連動した出来事ですが、私がそれを支持するのは、作品に即した、緻密なコラボレーションがそれによって実現するからです。その意味で、メルニコフというパートナーの存在が大きい。初期作品の爽やかにして気品のある演奏は、とくに絶品です。

もう一点という向きには、管とピアノの五重奏曲を集めた「レ・ヴァン・フランセの真髄」(ワーナー、3枚組)を。こちらは、スターが腕前を競い合う伝統流。知られざる作品も、華やかなノリで手に汗を握るように聴かせてくれます。