前門を乗り越える ― 2017年11月02日 13時03分59秒
無事、11月に入れました。というのは、10月最後の週末に大きな関門の一つが聳えていたからです。それは、全日本合唱コンクールの全国大会が大阪で催されるためでした。金曜日がNHKの録音3本、土曜日がコンクール高校部門、日曜日がコンクール中学部門、月曜日がNHKの録音2本という4日間になっており、大きなプレッシャーと共に、乗り切れるか否か、危惧を抱いていました。
放送は、準備をしておくことで対応できます。しかしコンクールは水ものですし、県大会、地区大会と勝ち抜いてくる出場校に対して差異を設けつつ採点することがいかに困難かは、身に染みてわかっていました。ですからこの週末が近づくにつれ、不安が増大するばかりでした。
大阪では、地下鉄を乗り継ぐ淀屋橋近辺でワインを飲み、気を静めてホテルへ。時計は待ってくれず、いよいよ高校部門Aグループ(小編成)の開始となりました。
経験上、最初で流れに乗れないと心臓に悪く、尾を引きます。ですので最大の緊張をもって、場に臨みました。来るのではなかった、という気持ちに何度もかられましたが、これはまあ、程度の差はあれ、いつも思うことです。
そうそうたる他の先生方の採点からあまり外れたくないと思うのは、現場にいるとどうしても抑えきれない心理です。第1ステージは私の1位と2位が全体の2位と1位ということで、ひとまず安堵。しかしこの安堵が、くせものなのです。
午後の高校Bグループ(大編成)は出場校も多く堂々たる激戦になりました。結果とは別に、ここで1つだけご紹介しておきたい出場校があります。全体の上位を取ることはできなかったが、私が感激をもって耳を傾けた高校です。
それは愛知県の聖カタリナ学園光ヶ丘女子校で、高田三郎先生の《イザヤの預言》から、〈神は仰せになる〉を歌いました。荘厳な頭句に続いて歌われる「慰めよ、わたしの民を」の言葉がいかにも心を込めて届いてきて、私は感動のひとときに、涙。ステージはまだ前半でしたが、この感動を最後まで覚えておこうと思い、採点の一部としました。
でも、感動を採点に反映させることは是か非か、ということも、考えておくべきかと思います。感動は主観であり、採点は厳密に技術や完成度という客観的な基準によるべきだ、という考えもあり得るからです。これは重要にしてデリケートな問題ですから、次の更新で、私見を申し上げます。
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