高貴なる探求2017年03月04日 10時16分01秒

いずみホールの「シューベルト~こころの奥へ」シリーズも、残すところわずか。28日(火)はケラス・トリオ(ファウスト、ケラス、メルニコフ)のコンサートがあり、終了後名古屋泊まり、翌朝は東京で仕事、という強行日程のもとに、聴きに行きました。

演奏は予想を上回る、すばらしいものでした。調弦の時点ですでに、演奏者たちの耳の良さと、音楽への純粋な向き合いが伝わって来るのです。ケラスのセンス抜群のチェロが中心にあり、そのかぎりなく繊細な掘り下げを、ファウスト、メルニコフが共にしていく。

ファウストが一心同体のようであるのはともかくとして、まったく違う性質の楽器であるピアノで、メルニコフはよく一体になれるものですね。ステージでは従者のように木訥なメルニコフですが、その貢献は大きいと思います。

シューマンの第3番、カーターの《エピグラム》、シューベルトの第1番というプログラムは、相当地味。演奏も、受け狙いのところなどどこにもない、高貴なる探求。それを受け止めて、熱烈な喝采を返すお客様もすばらしいなあと思いました。おかげさまで、ホールにとって、歴史に残るコンサートになりました。

無事東京に戻り、《ヴェスプロ》の講座、《フーガの技法》の講座を完遂しましたが、はなはだしく疲労。名古屋泊まりもなるべく減らそうと思います。と思って調べたら、4月に2回も出現することが判明しました。でもこれは、ダブルブッキングではありませんよね。