4月の「古楽の楽しみ」~聖母マリアの音楽2017年04月08日 09時56分41秒

「古楽の楽しみ」、今月は17日(月)からです。新年度は金曜日が入る計5日の特集になりましたので、かねてからやりたかった、「聖母マリアの音楽」を特集しました。時間と経費をたっぷりかけて準備し、多彩なプログラムを作りました。思い入れという点では、過去7年余で随一です。

17日(月) マリアと中世
 古代ギリシャ賛歌、グレゴリオ聖歌、中世オルガヌム、いくつかの写本(カルミナ・ブラーナ、聖母マリアのカンティガ集、ラス・ウェルガス写本、モンセラートの朱い本)から。

18日(火) マリアとルネサンス
 ダンスタブルとデュファイの「御母」つながりのモテット、マリアに献げるオルガン曲、「アヴェ・マリア」の聴き比べ(グレゴリオ聖歌、ジョスカン・デ・プレ、ウィリアム・コーニッシュ、オケゲム、ヴィラールト)。カンツォーナを1曲はさんで、パレストリーナとラッソの競演。後者がまたアヴェ・マリアになります。演奏はシャンティクリア、ヒリヤード、タリス・スコラーズ、PCAなど。

19日(水) マリアと雅歌
 旧約聖書『雅歌』のテキストによる、乙女マリアの音楽。いくつかのテキストに焦点をあて、パレストリーナ、ラッソ、レヒナー、ビクトリア、そしてモンテヴェルディを比較します。モンテヴェルディは《ヴェスプロ》から3曲入れましたが、先般ご紹介したザ・シックスティーンの演奏を使いました。

20日(木) 「海の星」のマリア
 絶美のイムヌス、《めでたし海の星Ave maris stella》の大特集です。グレゴリオ聖歌で開始し、作曲者不肖の13世紀モテット、ダンスタブル、デュファイ、ジョスカン、モンテヴェルディと来て、《ヴェスプロ》の〈聖マリアによるソナタ〉をはさみ、カヴァッリで締めくくりました。もとの聖歌がすばらしすぎるためか、聖歌に基づく曲が多い反面、そこから離れた新作は少ないと気づきました。その例外が、カヴァッリです。

21日(金) マニフィカトのマリア
 「マニフィカト」は『ルカ福音書』の伝えるマリア自身の歌ですから、最後はどうしてもこれになります。グレゴリオ聖歌の後、伝デュファイ、クロード・ル・ジューヌ、ジョヴァンニ・ガブリエーリ(12声)、モンテヴェルディ(7声)の4曲を紹介しました。

古い音楽の良さを痛感する作業過程でした。あえて言えば、月曜日には新鮮な驚きが、水曜日には官能の魅力が、木曜日には美の真髄があると思います。火曜日と金曜日は、王道を行くものです。どうぞよろしく。

コメント

_ 久美 ― 2017年04月08日 21時10分47秒

週5日になったのですね。たいへんうれしいことです。
「過去七年余で随一の思い入れ」とおっしゃる特集
先生からの贈り物と思って、いずまい正して拝聴いたします!
マニフィカト・サルヴェレジーナ・スターバトマーテルとタイトルされる曲は
どれも美しいなと気づいて、ある時調べてみますと、みんな聖母マリア絡みと知って驚きました。意味も知らないわたしの心まで掴むのかと音楽の素晴らしさを思いました。
「聖母マリアの音楽」に5日間どっぷり身を浸してみます。

_ I招聘教授 ― 2017年04月09日 21時43分09秒

久美さん、歌集読んでいます。また私撰やりますので、もう少しお待ちくださいね。

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