日比谷公会堂 ― 2012年03月04日 23時51分25秒
今日は、「日露修好ショスタコーヴィチ・プロジェクト2012」というイベントのために、日比谷公会堂に行きました。何年ぶりだろう、ここ。若い頃に通ったのに違いはないのですが、私は容れ物に執着するたちではないので、なつかしの涙、という感じにはなりません。冬の日比谷公園は、日曜日でもがらんとしていました。私は霞が関から行きましたが、すぐそばに、内幸町の地下鉄駅があるのですね。
15:00という招待券をもっていったところ、コンサートはもう始まっていて、14:30からの間違いだった、とのこと。帰り際主催者から謝罪されましたが、この種の間違いはほとんど謝罪する側なので、かえって恐縮してしまいます。
シチェドリンの《カルメン組曲》が響く中、階段をいくつも登って、2階最後尾の席に案内してもらいました。斜め下に会堂の全容を望める、高いところです。びっくりしたのは、音がいいこと。アンサンブル金沢の響きがまとまって、くっきりと、シャープに聴こえてきます。あれ、こんなにいいのにこのホール使わないの?と、まず思いました。
そうしたら、演奏を終えた井上道義さんが客席に向かって、今日は空席があるから、2階の一番上に行ってください、音がいいですよ、と話されたのです。まさに、私の座っているところ。それでも席を移動する人がほとんどいなかったのは、日本人の規律正しさですね。30分の間違いから、ホールの良さを知る幸運を味わいました。
メインは、ショスタコーヴィチの交響曲第14番。晦渋な作品で、演奏者の健闘にもかかわらず、もうひとつ理解がおよびませんでした。わかりたい音楽が、まだたくさんあります。
15:00という招待券をもっていったところ、コンサートはもう始まっていて、14:30からの間違いだった、とのこと。帰り際主催者から謝罪されましたが、この種の間違いはほとんど謝罪する側なので、かえって恐縮してしまいます。
シチェドリンの《カルメン組曲》が響く中、階段をいくつも登って、2階最後尾の席に案内してもらいました。斜め下に会堂の全容を望める、高いところです。びっくりしたのは、音がいいこと。アンサンブル金沢の響きがまとまって、くっきりと、シャープに聴こえてきます。あれ、こんなにいいのにこのホール使わないの?と、まず思いました。
そうしたら、演奏を終えた井上道義さんが客席に向かって、今日は空席があるから、2階の一番上に行ってください、音がいいですよ、と話されたのです。まさに、私の座っているところ。それでも席を移動する人がほとんどいなかったのは、日本人の規律正しさですね。30分の間違いから、ホールの良さを知る幸運を味わいました。
メインは、ショスタコーヴィチの交響曲第14番。晦渋な作品で、演奏者の健闘にもかかわらず、もうひとつ理解がおよびませんでした。わかりたい音楽が、まだたくさんあります。
3月のイベント ― 2012年03月02日 08時49分14秒
いよいよ3月。現職として最後の月になりました。いくつか、ご紹介します。
10日(土)は、楽しいクラシックの会が恒例で提供している、錦まつりコンサートです。立川市錦町学習館で14:00から。断続的に続けてきた楽器シリーズ、今年は「トロンボーンっておもしろい!」になりました。箱山芳樹さんとそのお弟子さんたちによる四重奏。楽しい会になりそうです。これに先行して10:00から開く例会では、バッハのオルガン音楽を、新しい映像を中心に取り上げます。
15日(木)はいずみホールのバッハ・オルガン作品連続演奏会の最終回。最終回なので誰かをリピートしようということになり、やはりギエルミさんだろうと衆議一決しました。タイトルは、「オルガンを超えるオルガン音楽」。無伴奏ヴァイオリンからの編曲(BWV539)、トリオ・ソナタの第3番、ヴィヴァルディのコンチェルト編曲(BWV596)、シュープラー・コラール集(カンタータからの編曲)、最後にイ短調のプレリュードとフーガ(BWV543)という親しみやすいプログラムです。私はトリオ・ソナタとシュープラーを楽しみにしていますが、コンチェルトも、最近すばらしいCDをリリースしたギエルミ氏ですので聴き逃せません。
大成功していたオルガン・シリーズを閉じるのは、秋から「バッハ・オルガン作品全曲演奏会」として発展的に再スタートするからです。今回はその節目ですので、芸術監督のクリストフ・ヴォルフ先生が来日し、14日(水)に講演されます。題して「オルガンが中心--バッハの音楽生活を決定づけたあのこと、このこと」。ギエルミ氏も演奏出演される豪華版です(ただし、15日のチケットをお持ちの方以外は申し込み制となります。いずみホールのHPをご覧下さい)。19:00から。ヴォルフ先生、今回は大阪のみの短期滞在となります。
その結果として、私、14日(水)18:00から国立音大小ホールで行われる後期博士課程研究コンサートを聴くことができません。大武彩子さん(ソプラノ)、今野哲也君(作曲)が出演されますので、応援していただければ幸いです。16日(金)の18:30からは、大学院修了者による「新人演奏会」。私の最後の論文指導クラス(オペラ専攻)から、4人出演します。しかしこの日はいずみホールで白井光子さんの日本歌曲コンサートがあり、本当ならばこちらも聴きたいところです。
17日(土)は、都内某所で「卒業生の企画する最終講義」。詳細は2月22日のお知らせをご覧下さい。長くなりました。25日(日)に立川アミューで開かれるモーツァルトのコンサートと月末の朝日カルチャー関連については、別途ご案内します。
10日(土)は、楽しいクラシックの会が恒例で提供している、錦まつりコンサートです。立川市錦町学習館で14:00から。断続的に続けてきた楽器シリーズ、今年は「トロンボーンっておもしろい!」になりました。箱山芳樹さんとそのお弟子さんたちによる四重奏。楽しい会になりそうです。これに先行して10:00から開く例会では、バッハのオルガン音楽を、新しい映像を中心に取り上げます。
15日(木)はいずみホールのバッハ・オルガン作品連続演奏会の最終回。最終回なので誰かをリピートしようということになり、やはりギエルミさんだろうと衆議一決しました。タイトルは、「オルガンを超えるオルガン音楽」。無伴奏ヴァイオリンからの編曲(BWV539)、トリオ・ソナタの第3番、ヴィヴァルディのコンチェルト編曲(BWV596)、シュープラー・コラール集(カンタータからの編曲)、最後にイ短調のプレリュードとフーガ(BWV543)という親しみやすいプログラムです。私はトリオ・ソナタとシュープラーを楽しみにしていますが、コンチェルトも、最近すばらしいCDをリリースしたギエルミ氏ですので聴き逃せません。
大成功していたオルガン・シリーズを閉じるのは、秋から「バッハ・オルガン作品全曲演奏会」として発展的に再スタートするからです。今回はその節目ですので、芸術監督のクリストフ・ヴォルフ先生が来日し、14日(水)に講演されます。題して「オルガンが中心--バッハの音楽生活を決定づけたあのこと、このこと」。ギエルミ氏も演奏出演される豪華版です(ただし、15日のチケットをお持ちの方以外は申し込み制となります。いずみホールのHPをご覧下さい)。19:00から。ヴォルフ先生、今回は大阪のみの短期滞在となります。
その結果として、私、14日(水)18:00から国立音大小ホールで行われる後期博士課程研究コンサートを聴くことができません。大武彩子さん(ソプラノ)、今野哲也君(作曲)が出演されますので、応援していただければ幸いです。16日(金)の18:30からは、大学院修了者による「新人演奏会」。私の最後の論文指導クラス(オペラ専攻)から、4人出演します。しかしこの日はいずみホールで白井光子さんの日本歌曲コンサートがあり、本当ならばこちらも聴きたいところです。
17日(土)は、都内某所で「卒業生の企画する最終講義」。詳細は2月22日のお知らせをご覧下さい。長くなりました。25日(日)に立川アミューで開かれるモーツァルトのコンサートと月末の朝日カルチャー関連については、別途ご案内します。
雪の閏日 ― 2012年02月29日 17時51分44秒
大雪の閏日になりました。通勤に不自由されている方もおられることでしょう。私の大学では昨日に続き博士後期課程の入学試験が行われましたが、今日受験した人は、その風景が一生記憶に残ることでしょうね。
終了後、研究室の仲間とのお別れ会までに、長い時間があります。そこでいよいよ、部屋の片付けに乗り出しました。3月を、片付け月間とします。なぜなら、自分の家を片付けないと、大学を片付けても処理できないからです。
今週「古楽の楽しみ」に出ています。しかし今週と3月26日からの週は再放送期間なので、去年の9月に出したバッハのトリオ・ソナタ特集と、12月に出したバッハの《クラヴィーア練習曲集》の特集を選びました。聴き逃された方はどうぞ。
閏日というと連想するのは、バッハのカンタータ第140番《目覚めよ》です。この曲は教会暦の閏日、すなわち三位一体後第27主日のために1731年に書かれたのですが、この日は復活祭が一番早くなった年にのみあらわれる日曜日で、バッハの生前には3回しか出現しませんでした。作曲前に1回、作曲後に1回です。
バッハのカンタータ中の最高傑作が、こういう珍しい日のために書かれているって、面白いと思われませんか?再演の機会がほどんどないことがわかっているにもかかわらず、バッハはこの日のテーマである終末を扱って、すばらしい作品を作りました。音楽は人間が作って人間に聴かせるもの、という発想では、説明のできないことだと思います。
終了後、研究室の仲間とのお別れ会までに、長い時間があります。そこでいよいよ、部屋の片付けに乗り出しました。3月を、片付け月間とします。なぜなら、自分の家を片付けないと、大学を片付けても処理できないからです。
今週「古楽の楽しみ」に出ています。しかし今週と3月26日からの週は再放送期間なので、去年の9月に出したバッハのトリオ・ソナタ特集と、12月に出したバッハの《クラヴィーア練習曲集》の特集を選びました。聴き逃された方はどうぞ。
閏日というと連想するのは、バッハのカンタータ第140番《目覚めよ》です。この曲は教会暦の閏日、すなわち三位一体後第27主日のために1731年に書かれたのですが、この日は復活祭が一番早くなった年にのみあらわれる日曜日で、バッハの生前には3回しか出現しませんでした。作曲前に1回、作曲後に1回です。
バッハのカンタータ中の最高傑作が、こういう珍しい日のために書かれているって、面白いと思われませんか?再演の機会がほどんどないことがわかっているにもかかわらず、バッハはこの日のテーマである終末を扱って、すばらしい作品を作りました。音楽は人間が作って人間に聴かせるもの、という発想では、説明のできないことだと思います。
日本文化への愛 ― 2012年02月28日 12時45分06秒
後期博士課程の入学試験が始まりました。今朝は9時に出勤しましたが、それも今日が最後です。
昔誰が読むのだろうと思っていた新聞の社説を、最近は読むようになりました。テレビでも、ニュースを中心に、討論番組や国会中継を見たりしますから、人間、変わるものですね。夜はBSフジの「プライム・ニュース」をよく見ます。そこに昨日、ドナルド・キーンさんが出演されました。
キーンさんが日本文学の優秀な研究者であられること、日本愛が嵩じて震災後の日本に永住する決心をされたことは、皆様もご存じでしょう。2時間番組なので日本文学、日本文化、日本人に関するさまざまなお話をされましたが、その造詣の深さと愛の深さにほとほと感服し、(最近の常として)涙を禁じ得ませんでした。
当初は古文から入られ、近代文学に関心を広げられたとのこと。古代から現代にわたる文学作品の中から、日本語の美しさ、通底する美意識を読み取って洞察しておられるのです。源氏物語、徒然草、日記文学、細雪・・・。和歌からは新古今集を挙げられましたが、これは私も共感。能の詞章につながる世界ですね。
こういう外国人の方がおられるのだから、われわれはもっと日本の文化、先人たちの遺した芸術や風土を大切にしなければなあと、心から思った次第です。西洋音楽を研究している私ですが、やはり日本人の目があってこその、日本における西洋音楽研究だと思います。
昔誰が読むのだろうと思っていた新聞の社説を、最近は読むようになりました。テレビでも、ニュースを中心に、討論番組や国会中継を見たりしますから、人間、変わるものですね。夜はBSフジの「プライム・ニュース」をよく見ます。そこに昨日、ドナルド・キーンさんが出演されました。
キーンさんが日本文学の優秀な研究者であられること、日本愛が嵩じて震災後の日本に永住する決心をされたことは、皆様もご存じでしょう。2時間番組なので日本文学、日本文化、日本人に関するさまざまなお話をされましたが、その造詣の深さと愛の深さにほとほと感服し、(最近の常として)涙を禁じ得ませんでした。
当初は古文から入られ、近代文学に関心を広げられたとのこと。古代から現代にわたる文学作品の中から、日本語の美しさ、通底する美意識を読み取って洞察しておられるのです。源氏物語、徒然草、日記文学、細雪・・・。和歌からは新古今集を挙げられましたが、これは私も共感。能の詞章につながる世界ですね。
こういう外国人の方がおられるのだから、われわれはもっと日本の文化、先人たちの遺した芸術や風土を大切にしなければなあと、心から思った次第です。西洋音楽を研究している私ですが、やはり日本人の目があってこその、日本における西洋音楽研究だと思います。
今月のCD選 ― 2012年02月25日 23時27分09秒
このところ、送別会続きです。木曜日は、ドイツに留学した同僚で作っている「ドイツ語つながり」という会の、恒例の集まり。金曜日は、音楽学の「追いコン」。どちらでも送別会を兼ねていただきました。両日とも盛り上がりましたが、最近あまり密着していなかった音楽学の学生たちが示してくれた親愛の情は意外なほどで、感動をもって受け止めました。いずれも深夜におよび、疲れ気味です。
今月のCD、行きましょう。すばらしい1位があります。小菅優さんのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第1巻「出発」(ソニー)。第1~3番、第16~18番の6曲が収められていますが、正攻法の、じつに堂々たるベートーヴェンです。いまどき珍しい、といいましょうか。読みの深さと表現の多様性に加えて、のびやかさがあるのです。
2位は輸入盤で、ブルックナーの第3交響曲の初稿、すなわちワーグナー引用が要所で出てくる稿を、ブロムシュテットがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮して録音したもの(独QUERSTAND)。
ブレンドされた響きで流れよく進められ、長さを忘れます。初稿、いいですね。
第3位は、ダニエル・ホープの「ロマンティック・ヴァイオリニスト」というグラモフォン盤を選びました。19世紀の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの貢献を、ブルッフの協奏曲やブラームスのハンガリー舞曲など、彼のからんだ作品で追うという焦点の定まった企画で、演奏も引き締まっています。
今月のCD、行きましょう。すばらしい1位があります。小菅優さんのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第1巻「出発」(ソニー)。第1~3番、第16~18番の6曲が収められていますが、正攻法の、じつに堂々たるベートーヴェンです。いまどき珍しい、といいましょうか。読みの深さと表現の多様性に加えて、のびやかさがあるのです。
2位は輸入盤で、ブルックナーの第3交響曲の初稿、すなわちワーグナー引用が要所で出てくる稿を、ブロムシュテットがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮して録音したもの(独QUERSTAND)。
ブレンドされた響きで流れよく進められ、長さを忘れます。初稿、いいですね。
第3位は、ダニエル・ホープの「ロマンティック・ヴァイオリニスト」というグラモフォン盤を選びました。19世紀の名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの貢献を、ブルッフの協奏曲やブラームスのハンガリー舞曲など、彼のからんだ作品で追うという焦点の定まった企画で、演奏も引き締まっています。
最終講義??のお知らせ ― 2012年02月22日 23時22分06秒
最終講義はやらないんですか、というお尋ねを、よくいただきます。私の大学ではその習慣がなく、海老澤先生以後、どなたもなさっていません。
私もやらないつもりでいましたら、音楽学(旧楽理)の卒業生たちが、「卒業生の企画する最終講義」を学外でやろう、と申し出てくれました。ありがたいお話なのでお受けすることにしましたが、相談するうちに、学術的性格のものではなく、楽しいお祝いにしたい、ということになってきました。そこで、それなら得意の三択クイズをやりましょう、とご提案しました。
音楽学の卒業生はだいたい連絡が取れるそうですが、その他の方々には、連絡するすべがありません。しかし私の場合、演奏の分野に、親しかった人がかなりいるのです。それが残念ではあったのですが、きりのない話ですから、今回は音楽学限定で、と思っていました。
ところが今日推進役の卒業生から、次のような提案をもらいました。聞きつけて問い合わせてくる演奏系の卒業生がいる、案内しているうちにみんなで楽しみたい気持ちになってきた、しかし私は知らなかった、連絡してほしかったという話になると残念なので、先生のブログで案内してほしい、という提案です。もちろん、望むところです。
ここでの情報は「3月17日(土)に都内でパーティがある」ということにとどめますので、関心のおありの方は、次のアドレスにお問い合わせください。ちょうど今朝も、声楽の卒業生の方から私のところに問い合わせがありました。景品に私の本をたくさんもっていきますので、クイズを楽しみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
i.kyoju2012@gmail.com
私もやらないつもりでいましたら、音楽学(旧楽理)の卒業生たちが、「卒業生の企画する最終講義」を学外でやろう、と申し出てくれました。ありがたいお話なのでお受けすることにしましたが、相談するうちに、学術的性格のものではなく、楽しいお祝いにしたい、ということになってきました。そこで、それなら得意の三択クイズをやりましょう、とご提案しました。
音楽学の卒業生はだいたい連絡が取れるそうですが、その他の方々には、連絡するすべがありません。しかし私の場合、演奏の分野に、親しかった人がかなりいるのです。それが残念ではあったのですが、きりのない話ですから、今回は音楽学限定で、と思っていました。
ところが今日推進役の卒業生から、次のような提案をもらいました。聞きつけて問い合わせてくる演奏系の卒業生がいる、案内しているうちにみんなで楽しみたい気持ちになってきた、しかし私は知らなかった、連絡してほしかったという話になると残念なので、先生のブログで案内してほしい、という提案です。もちろん、望むところです。
ここでの情報は「3月17日(土)に都内でパーティがある」ということにとどめますので、関心のおありの方は、次のアドレスにお問い合わせください。ちょうど今朝も、声楽の卒業生の方から私のところに問い合わせがありました。景品に私の本をたくさんもっていきますので、クイズを楽しみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
i.kyoju2012@gmail.com
日常の五心 ― 2012年02月20日 08時38分28秒
4冊目を迎えた『土曜日の朝に』(「たのくら」の記念誌)を読んでいます。さすがに皆さん自分の世界をお持ちで、円熟したエッセイが多く、心を惹かれます。その中に、なるほどと膝を打つものがありました。重鎮、斉藤隆夫さんの寄稿です。
斉藤さんは、夏に法事で、曹洞宗のお寺に行かれたそうです。住職のお経に敬服し、立ち上がると壁に「日常の五心」が掲示してあることに気づかれました。次のようなものです。
一、すみませんという(反省の心)
ニ、はいという(素直な心)
三、おかげさまという(謙譲の心)
四、私がしますという(奉仕の心)
五、ありがとうという(感謝の心)
これを読んで私が反射的に思ったのは、これって、ミサ曲のテキストと同じじゃないの、ということです。同じ5章ですし、何より冒頭が、〈キリエ〉に重なります。以降も、もちろん厳密にではありませんが〈グローリア〉や〈サンクトゥス〉に類比できますよね。違うといえば、信仰箇条を列挙した〈クレド〉の存在でしょうか。宗教的な心は普遍的なものであるという《ロ短調ミサ曲》を通じての思いが、裏付けられたような気がしました。
エッセイは、含蓄深い、次のような文章で閉じられています。「私はこの古いお寺で身体も心も清められ、今後はこの『日常の五心』を心掛けて行動しようと思いつつ、小雨にけむる古寺を後にしました」。
斉藤さんは、夏に法事で、曹洞宗のお寺に行かれたそうです。住職のお経に敬服し、立ち上がると壁に「日常の五心」が掲示してあることに気づかれました。次のようなものです。
一、すみませんという(反省の心)
ニ、はいという(素直な心)
三、おかげさまという(謙譲の心)
四、私がしますという(奉仕の心)
五、ありがとうという(感謝の心)
これを読んで私が反射的に思ったのは、これって、ミサ曲のテキストと同じじゃないの、ということです。同じ5章ですし、何より冒頭が、〈キリエ〉に重なります。以降も、もちろん厳密にではありませんが〈グローリア〉や〈サンクトゥス〉に類比できますよね。違うといえば、信仰箇条を列挙した〈クレド〉の存在でしょうか。宗教的な心は普遍的なものであるという《ロ短調ミサ曲》を通じての思いが、裏付けられたような気がしました。
エッセイは、含蓄深い、次のような文章で閉じられています。「私はこの古いお寺で身体も心も清められ、今後はこの『日常の五心』を心掛けて行動しようと思いつつ、小雨にけむる古寺を後にしました」。
哀愁に至るまで ― 2012年02月18日 23時33分54秒
「楽しいクラシックの会25周年記念パーティ」、無事終わりました。さっそく、その感想を。
25年前、私は、当時3チャンネルで放送されていた「市民大学」のために、「バロック音楽」のシリーズ番組を準備していました。そうしたら、立川市錦町の公民館が、「テレビセミナー」という企画を振ってくれたのです。実施は、放映後。そこで「呼びかけるバロック音楽」という4回の講演を企画しました。
ところが、私が大病にかかり、番組は2年延期になってしまったのです。私は3度にわたる手術と入院を経て半年間休養し、やせ細った状態に。しかしせっかくだから講座はやろう、ということで、放送に先行して実施しました。それが、受講生の熱意によって市民の自主講座と化し、継続したのでした。
公民館(今は学習館)の小さな視聴覚室を借りての勉強会のようなスタイルは、今も同じ。でもその時点では、25年も続いて立川グランドホテルで盛大なパーティを行うことになろうとは、とうてい想像できませんでした。私の仕事の発展といっしょに、会の皆さんが歩んでくれたということです。今日、4冊目の記念誌「土曜日の朝に」が完成し、配布されました。
しかし今日のパーティが盛り上がったのは、午前中のコンサートの濃密な雰囲気が持ち込まれたからに違いありません。当初は宴会の余興程度に考えていたものが発展し、セレモアつくばのご好意で武蔵野ホールをお借りして本格的なコンサートを行うことができたのはなによりでした。ホールに置かれたプレイエル、エラール、ベーゼンドルファーの3種のピアノを使い分けて、久元祐子さんがショパンとモーツァルトを演奏。いつもながらのみごとな構成と潤いに満ちた響きが共存し、まさに癒しのひとときです。私はエラールよりプレイエルの方がずっと好きですが、ベーゼンドルファーも、本当にいいですね。
後半は、小堀勇介君と大武彩子さんによるモーツァルトの歌曲とアリア、二重唱。直前の飛び入りにもかかわらず、プログラムも変更せずに歌われた大武さんの貢献には、脱帽あるのみです。《ドン・ジョヴァンニ》第2幕のドンナ・アンナのアリアがこんなに名曲だと痛感したのは、今日初めて。それは、オーケストラをピアノに置き換えて普通生まれる薄まりが、久元さんの卓越した解釈で、凝縮に置き換えられていたからです。
アンコールは2人とも、グノーの《ロメオとジュリエット》から。大武さん得意のスーパー・コロラトゥーラにも接することができました。以前ヘーゲル・ゼミで紅一点の女性について書きましたが、種明かしをしますと、それがこの大武さんです。学業も優秀な方なのです。
ハイ・テンションの1日だったので、終わる頃にはかえって「宴のあと」のような憂鬱な気分になってしまいました。歓楽極まって哀愁を知る、ともいいますね。その気分です。ありがとうございました。
25年前、私は、当時3チャンネルで放送されていた「市民大学」のために、「バロック音楽」のシリーズ番組を準備していました。そうしたら、立川市錦町の公民館が、「テレビセミナー」という企画を振ってくれたのです。実施は、放映後。そこで「呼びかけるバロック音楽」という4回の講演を企画しました。
ところが、私が大病にかかり、番組は2年延期になってしまったのです。私は3度にわたる手術と入院を経て半年間休養し、やせ細った状態に。しかしせっかくだから講座はやろう、ということで、放送に先行して実施しました。それが、受講生の熱意によって市民の自主講座と化し、継続したのでした。
公民館(今は学習館)の小さな視聴覚室を借りての勉強会のようなスタイルは、今も同じ。でもその時点では、25年も続いて立川グランドホテルで盛大なパーティを行うことになろうとは、とうてい想像できませんでした。私の仕事の発展といっしょに、会の皆さんが歩んでくれたということです。今日、4冊目の記念誌「土曜日の朝に」が完成し、配布されました。
しかし今日のパーティが盛り上がったのは、午前中のコンサートの濃密な雰囲気が持ち込まれたからに違いありません。当初は宴会の余興程度に考えていたものが発展し、セレモアつくばのご好意で武蔵野ホールをお借りして本格的なコンサートを行うことができたのはなによりでした。ホールに置かれたプレイエル、エラール、ベーゼンドルファーの3種のピアノを使い分けて、久元祐子さんがショパンとモーツァルトを演奏。いつもながらのみごとな構成と潤いに満ちた響きが共存し、まさに癒しのひとときです。私はエラールよりプレイエルの方がずっと好きですが、ベーゼンドルファーも、本当にいいですね。
後半は、小堀勇介君と大武彩子さんによるモーツァルトの歌曲とアリア、二重唱。直前の飛び入りにもかかわらず、プログラムも変更せずに歌われた大武さんの貢献には、脱帽あるのみです。《ドン・ジョヴァンニ》第2幕のドンナ・アンナのアリアがこんなに名曲だと痛感したのは、今日初めて。それは、オーケストラをピアノに置き換えて普通生まれる薄まりが、久元さんの卓越した解釈で、凝縮に置き換えられていたからです。
アンコールは2人とも、グノーの《ロメオとジュリエット》から。大武さん得意のスーパー・コロラトゥーラにも接することができました。以前ヘーゲル・ゼミで紅一点の女性について書きましたが、種明かしをしますと、それがこの大武さんです。学業も優秀な方なのです。
ハイ・テンションの1日だったので、終わる頃にはかえって「宴のあと」のような憂鬱な気分になってしまいました。歓楽極まって哀愁を知る、ともいいますね。その気分です。ありがとうございました。
出演者変更 ― 2012年02月17日 00時35分35秒
18日の「たのくら」25周年記念パーティと、記念コンサートが迫って来ました。出演者の変更をお知らせします。種谷典子さんに代わり、大武彩子さんが出演されます。それに伴って、曲目が一部変更になります。やむを得ない事情ですのでご了承ください。大武さんのご協力に感謝します。
イベントの問い合わせをなさりたい方、私に私信を送りたい方、いらっしゃると思います。コメントをメールアドレス入りで書いてくださると、管理者である私はそれを見ることができますので、お返事を差し上げます。どうぞご利用ください。
イベントの問い合わせをなさりたい方、私に私信を送りたい方、いらっしゃると思います。コメントをメールアドレス入りで書いてくださると、管理者である私はそれを見ることができますので、お返事を差し上げます。どうぞご利用ください。
究極の趣味? ― 2012年02月15日 23時55分17秒
ある会合で、あなたの究極の趣味はなんですか、と問われました。ちょっと考えて、「PCゲーム」と答えました。やっぱり、それ以外の答えは出てきません。意外だ、という反応をいただきましたが、ここに来ておられる方は、意外ではないですよね?勝負事も、ギャンブルも、基本的には好きなタチです。
長いことやっていたのは、Sacred2というロールプレイング。広大な世界が美麗なグラフィックで描かれ、キャラクターを育てながら、のんびりと冒険する。しかし、やや単調なきらいがあります。いいかげんやりましたので、Heroes of Might and Magic VI(英語版)に乗り換えました。
「マイト・アンド・マジック」は、RPGに最初に魅了されたタイトル。以来発売されるたびに、すべてやってきました。途中から「ヒーローズ」というSLGに変わったのですが、これがまた面白い。木、石、宝石、お金を集めて城をグレードアップさせ、クリーチャーを増やして、版図を拡大していくのです。いろいろな種族がまったく違う可能性をもっていて、能力の発展も、たくさんの選択肢から選ぶ。コツをつかまないと、ジリ貧で負けてしまいます。考えぬいた戦略が必要なのです。
ものすごく面白いのですが、ネットにつながらないことがあるのが、玉に瑕。クリアするまで、相当かかりそうです。
長いことやっていたのは、Sacred2というロールプレイング。広大な世界が美麗なグラフィックで描かれ、キャラクターを育てながら、のんびりと冒険する。しかし、やや単調なきらいがあります。いいかげんやりましたので、Heroes of Might and Magic VI(英語版)に乗り換えました。
「マイト・アンド・マジック」は、RPGに最初に魅了されたタイトル。以来発売されるたびに、すべてやってきました。途中から「ヒーローズ」というSLGに変わったのですが、これがまた面白い。木、石、宝石、お金を集めて城をグレードアップさせ、クリーチャーを増やして、版図を拡大していくのです。いろいろな種族がまったく違う可能性をもっていて、能力の発展も、たくさんの選択肢から選ぶ。コツをつかまないと、ジリ貧で負けてしまいます。考えぬいた戦略が必要なのです。
ものすごく面白いのですが、ネットにつながらないことがあるのが、玉に瑕。クリアするまで、相当かかりそうです。
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