生誕300年のC.P.E.バッハ特集を、「古楽の楽しみ」で組みました。年代を追って進む4回シリーズ。来週オン・エアされます。
24日(月)は、初期、まだ父バッハが生きている時代の作品を集めました。まずライプツィヒ時代から、トリオ・ソナタイ長調 wq.146(1731=17歳、1747改訂)、演奏はレザデュー。次にフランクフルト・アン・デア・オーダーにおける大学生時代から、オーボエ・ソナタト短調 wq.135(1734?)。演奏はクビンゲとコープマン。ベルリン時代に入り、《プロイセン・ソナタ集》からソナタホ長調 wq.48-3(1742、チェンバロはアスペレン)と、フルート協奏曲ニ短調 wq.22(チェンバロ協奏曲として1747に成立)の第1楽章(ヒュンテラー/コープマン)、そして《マニフィカト》wq.21(1749)から〈位ある者を引き下ろし〉(ネーフ)。個性的な「ゆらぎ」の萌芽は《プロイセン・ソナタ》にみられますが、大筋は、安心して楽しめる美しいバロック音楽、という趣です。
25日(火)は、父の死(1750)後1767年までのベルリン時代後半を扱います。まず『正しいクラヴィーア奏法試論』(1753)に載っている学習用の作品から、ソナタ第6番ヘ短調wq.63-6(ホグウッドのクラヴィコードで)。次にオルガン・ソナタ第4番イ短調wq.70-4(1755)を、ゆかりのオルガンを用いたアランの演奏で。最後に オーボエ協奏曲変ホ長調 wq.165(1765)、演奏はヴェスターマン/ヘンゲルブロック。エマーヌエルらしいファンタジーの湧出、古典派的な感覚の成長、協奏曲様式の発展などが、この日の聴きどころでしょうか。
26日(水)からハンブルク時代に移ります。ハンブルクでは宗教声楽曲が一気に増え、器楽ではシンフォニアに名曲が生まれました。そこで、弦合奏のシンフォニアイ長調wq.182-4(1772)、オラトリオ《荒野のイスラエル人》wq.238(1775)抜粋、《ハイリヒ》wq.217(1776)、管楽器入りのシンフォニアニ長調wq.183-1(1776)からというプログラムを組みました。演奏はヘンゲルブロック、ブルンナー、マックス、鈴木秀美です。「ゆらぎ」は全開で彼の個性として確立されていますし、当時からの人気曲《ハイリヒ》も、なかなかの傑作です。
27日(木)は、ハンブルクでの最晩年を特集しました。最後の年、1788年(モーツァルトが三大交響曲を書いていた年)の《チェンバロとフォルテピアノのための協奏曲》wq.47(コープマン/マトー)を皮切りに、1785年の《マタイ受難曲》後半(ダウス)、1788年の四重奏曲ト長調wq.95から(レザデュー)というプログラムです。趣向をこらしつつも穏やかにまとめられた器楽曲も楽しめますが、《マタイ受難曲》にご注目ください。お父さんの作品の引用が次から次へと出てきて、驚かされます。
これまでそれほど興味をもっていなかった、C.P.E.バッハの音楽。4つの番組を作るためにたくさん聴き、彼がバッハとモーツァルトをつなぐ時代の大きな存在であったことを、あらためて実感しました。感性豊かな音楽を真面目に提供し続け、自分の個性もしっかり作り上げたエマーヌエル。前回のゼレンカもそうですが、特集することで、その存在がぐっと身近になりました。
C.P.E.BACHは普段あまり聴かないので今回の放送が楽しみです。
ところで、少しお聞きしたいことがあります。
最近、ガーディナーが「 Music in the Castle of Heaven」という大変分厚いBACHの本を出しましたが、一体どのようなことが書かれているのでしょうか?
語学が弱い私にとっては翻訳が出ないかぎり手が出そうもないのですが…磯山先生はもう読まれましたか?
ガーディナーの本、話には聞いていますが、まだ見ていません。どなたかが翻訳されるかもしれませんね。私は、ライナーノートを数点、昔訳したことがあります。
ところで、少しお聞きしたいことがあります。
最近、ガーディナーが「 Music in the Castle of Heaven」という大変分厚いBACHの本を出しましたが、一体どのようなことが書かれているのでしょうか?
語学が弱い私にとっては翻訳が出ないかぎり手が出そうもないのですが…磯山先生はもう読まれましたか?