バッハ最近の名盤10選2014年10月10日 22時12分38秒

私がつねづね述べているのは、バッハやバロックは新しい演奏を聴いて欲しい、ということです。また、輸入盤にどんどんいいものが出ている、ということも、申し上げてきました。でも、国内盤になってこそ初めて演奏は聴いていただける、という思いもしています。

というのは、最近ある老舗の雑誌(できたらご案内します)に大きなインタビューを掲載していただく機会があり、CDの推薦もしよう、ということになりました。ところが、国内盤で手の入りやすいもの、という条件がついてみると、新しいいいものが、本当に選べないのです。

考えて見れば、CDやDVDを購入することもそれを愛聴することも、日本語なしでは雲をつかむようなもの。これから聴きたいという方々に気軽にお薦めするわけにはいきません。とくに声楽曲はそうですよね。とはいえ、出せと言われてもおいそれとは出せない、という業界の事情もよくわかります。

9月末、朝日カルチャー横浜校で「今が旬の(バッハ)演奏家たち」という講座を行いましたが、準備の過程で、「ここ10年間の名盤ベスト10」の形でご紹介しようと思い、選んでみました。吟味を重ねてというほどでもなく、全部が最高レベルではないかもしれませんが、ご参考までに紹介します。輸入盤、「国内盤仕様の輸入盤」もいくつか入っています。録音年代順です。

1.ジャン=ギアン・ケラス(カナダ、1967~)の《無伴奏チェロ組曲》  2006 第3番のDVD付き
2.マルク・ミンコフスキ(フランス、1962~)指揮 グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊の《ロ短調ミサ曲》 2008
3.ハンス=クリストフ・ラーデマン(ドイツ、1965~)指揮 ベルリンRIAS室内合唱団とベルリン古楽アカデミーのモテット、カンタータ・シンフォニア 2008 DVD
4.イザベル・ファウスト(ドイツ、1972~)の無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、パルティータ 2009, 2011
5.コンスタンチン・リフシッツ(ロシア、1976~)とシュトゥットガルト室内管弦楽団のピアノ協奏曲集 2010
6.ロレンツォ・ギエルミ(イタリア、1968~)の《トリオ・ソナタ》集 2010
7.アンドラーシュ・シフ(ハンガリー、1953~)の《フランス組曲》 BD 2010
8.イヴァン・フィッシャー(ハンガリー、1951~)指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管の《マタイ受難曲》 BD, DVD 2012
9.リチャード・エガー(イギリス、1963)指揮 エンシェント・ミュージックの《ヨハネ受難曲》 2013
10.ジョン・エリオット・ガーディナー(イギリス、1943~)指揮 モンテヴェルディ合唱団、EBSの《復活祭オラトリオ》、カンタータ第106番 2013

コメント

_ マリアマグダレナ ― 2014年10月12日 15時06分30秒

バッハのカンタータ147番の磯山先生の対訳を私の所属するアマチュア合唱団のプログラムに使わせて頂きたい件でご連絡いたしました。
私の手元に1990年のガーディナーのCDに付いていた先生の対訳があり、ご連絡させて頂きました。
公開のブログでは個人情報もあってこれ以上述べにくいので、ご連絡頂けないでしょうか。詳細をお伝えしたうえで改めてお願いさせて頂きたく存じます。

_ I招聘教授 ― 2014年10月13日 21時24分31秒

ありがとうございます。メールいたします。

_ ムッシュ・アオキ ― 2014年10月14日 15時11分16秒

チェロが好きです。先生ご推薦のジャン=ギアン・ケラスの「無伴奏チェロ組曲」の CDを早速注文しました。楽しみにしています。他の名盤も順次聴いていこうと思っています。貴重な情報に感謝!

_ アロハ先生 ― 2014年10月14日 21時53分30秒

ミンコフスキのロ短調は、たまたま数週間前に手に入れました。私も良い録音だと思い愛聴しています。声楽の各声部を1人で歌っていて、そのことが抜群の機動力にも繋がっている名演だと思います。特にグロリアのテンポ感は、この編成だからこそ成せる業だと思います。
実は、単品で買う事も考えたのですが、モンテヴェルディやペルゴレージとセットになったボックスセットのほうがお得感があったので、そちらを購入しました。そのボックスに同梱されているアレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノによるMarienvesperもイタリア的な華やかさ溢れる名演かと思います。余談ですが、25日の公演も楽しみにしております。
最後に、今回のベスト10の発表、演奏家の生年が書かれていますが、その全てがご存命の方々のお名前…これは、遠回しに「録音だけでなく実際にその耳で聴いてください。」という意図を感じましたが、それは私の深読みが過ぎるところでしょうか…
長文を失礼しました…

_ I招聘教授 ― 2014年10月15日 23時59分51秒

皆さんありがとうございます。特に意図はありませんが、やっぱり新しい演奏を聴いて欲しい、という気持ちが強いのです。有名大家主義の方もたくさんおられますが、それですと、古楽の世界ではいい演奏を聴き逃すと思います。

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