リハーサル室のバッハ談義2015年10月25日 09時31分36秒

20日(火)の夜は、《ゴルトベルク変奏曲》の初版譜や《アンナ・マクダレーナ・.バッハのためのクラヴィーア小曲集》の自筆譜ファクシミリをもって、オーチャードホールのリハーサル室へ。小山実稚恵さんとの、トークイベントです。

皆様ご存じと思いますが、小山さんは目下デビュー30周年(?!)のリサイタル・シリーズを継続中で、それぞれのコンサートに、プレイベントをなさっています。今回は11月28日が本番で、プログラムはシューマンの《花の曲》と、バッハの《ゴルトベルク変奏曲》。トークの後には軽いパーティもしつらえられていて、ファンを大事にする小山さんのお人柄に感じ入りました。

最初の話題は、作品と不眠症との関係。カイザーリンク伯爵の不眠症を引き起こしたもろもろのストレスを変奏曲が夜な夜な解消したであろう、とのご意見を小山さんが述べられ、なるほどと思いました。

次の話題は、アリアがあって変奏曲ができたのか、あるいは、変奏曲への美しい装幀のようは形で最後にアリアができたのか、ということ。後者は、どこまで主張できるか詰めたい、と思っている考え方です。類似曲の《シャコンヌ》などとは異なって、《ゴルトベルク変奏曲》ではアリアの旋律が一連の変奏とまったく関係をもっていません。その他いくつかの根拠があり、もし言えるとすれば、ポロネーズによる勇壮な第1変奏のもつ意味が、まったく変わってくる可能性があります。

そのあと、小山さんに弾いていただきながら作品の数学的構成についてご説明し、最後に小山さんが、クォドリベットとアリアの再現を、コンサートライクに集中して演奏されて、イベントが終わりました。温かな雰囲気で皆さんとても話に入ってきてくださり、小山さんも感動を示してくださって、うれしかったです。ここを弾けあそこを弾けなどと小山さんに指図する人を初めて見た、というファンの方も。失礼しました(笑)。


11月28日、私はいずみホールで《魔笛》の公演があるため伺えないのですが、皆様、よろしくお願いします。