話題に便乗2016年05月27日 10時41分57秒

ここしばらく、テレビのスイッチを入れると同じ話題をやっていて、つい見入ってしまいます。「他人に厳しく自分に甘い」という論評に接して、かつてHPに書いたことを思い出しました。

他人と自分に対するスタンスは、理論上、4種類あります。1.自分に甘く、他人にも甘い。2.自分に甘く、他人には厳しい。3.自分に厳しく、他人には甘い。4.自分に厳しく、他人にも厳しい。--あるべきは、どの形でしょうか。

自分に甘く他人に甘いのでは、波風は立たないでしょうが、何も始まりません。自分には甘いのに他人に厳しいというのは、はた迷惑。クレーム魔やモンスターペアレントの話をよく聞きますが、このグループですよね。

自分に厳しいというのが、やはり基本だと思います。では、3と4ではどちらがいいでしょう。自分に厳しいのに他人に甘いという形は、人間関係という観点ではよさそうだし、周囲がもって範とすれば、いい結果をもたらすこともありそう。しかしこれは仙人の論理で、社会で責任を負っていくには不充分です。

ですので、自分に厳しく、他人にも厳しいというのが、本当は一番いいと思う。ただし条件があります。それは、自分に対する厳しさが、他人に対する厳しさを、それとわかるほど超えている、ということです。名将、名伯楽と言われるのは、こういう人だと思う。それなら人はついてゆきますから、事をなす人たちが育ってくる。歯切れのいい弁舌の徒にはつい引っ張られてしまいますが、つねに中味を見よ、ということでしょう。

コメンテーターの方々の論評と1つだけ違う私見がありますので、最後にそれを。知事になる前に、ファーストクラスで海外にゆく大臣を「さもしい根性」だと著作で罵倒していた、という話がありましたね。知事になって変わってしまったのだろうか、とコメントされていましたが、そうではないと思います。

本来この手の豪遊に、大きな関心をもっていた方なのです。想像ですが、うらやむ気持ちも並大抵でなかった。だから他人がすると許せないが、自分ならそれにふさわしいと思った、ということではないでしょうか。

国であれ、会社であれ、団体であれ、権力争いがあります。トップがワンマンであるとき、民主的な形態を求めて、立ち上がる人がいる。一歩も引かずに戦い、改革の旗手になっていきます。もちろんそうした人が待望されるシチュエーションはあるわけですが、こういう人は得てして、権力に強い関心を覚えている人です。したがって前任者に取って代わると、権力を分配して民主的にやろうとはせず、概して、自分自身に権力を集中させようとする。独裁者を倒した人はかなりの確率で独裁者になるというのが、私の長年の観察です。ファーストクラスの話と同じで、地位が人を変えたということではないと思います。