調弦2014年08月19日 10時09分48秒

17日(日)は、神戸愉樹美さんの国立音大退職記念コンサートとパーティに出かけました。36年間この上なく熱心に務められた帰結として、ヴィオラ・ダ・ガンバ教室の卒業生が、こぞって詰めかける盛況。慕ってその道に入られた方が、何人もおられるのです。

コンサートの後半に組まれていた5~7人のコンソート、これが良かったですね。ガット弦たちから生まれるふくいくとした和音が心に染みいるようで、なごみました。誰の曲を何という人が弾いているかといったことを忘れ、響きに身を任せてくつろげるのが、ルネサンス・コンソートの世界です。自由学園のミンミンゼミが加わったのは、ちょっと想定外でしたが。

学んだことがひとつあります。ご承知のように、古楽では、調弦に時間をかけます。ガット弦が狂いやすいということもありますが、純正なピッチで合奏するためには、開放弦の音を入念に合わせておく必要があるからです。今までは、その時間は音楽とは別物と思っていました。

でもこの日は、調弦が、音楽の一部であると感じられたのです。やや長い時間の間に響きの違和感が薄皮をはぐように解消され、一呼吸置いて、澄んだ美しい和音が流れ出す。調弦が、音楽へと向かう貴重な道のりになっていたのですね。これからは調弦も、心して聴こうと思います。