今月のCD2014年11月23日 08時12分00秒

ハイドンの再評価が必要だなあ、とよく思う昨今。折しも鈴木秀美さん指揮するオーケストラ・リベラ・クラシカが、交響曲第67番ヘ長調の新譜を出しました(2013ライヴ、アルテ・デラルコ)。

67番と言ってあああの曲、と思われる方は少ないでしょう。もちろん私もダメです。すなわちワン・オブ・ゼム(ハイドンの場合、このゼムが多い)ということになると思いますが、鳴らしたとたんに流れ出た音楽の個性と生命力に、びっくりしました。明るく、人なつこく、ユーモラス。こんな風に演奏できるのはさすがに鈴木秀美さんで、ハイドンの真髄を突いていると思います。

同CD次に入っているのが、佐藤俊介さんをソロにしたモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番。一般に、ほとんど注目されない作品だと思います。それが、じつに面白い。「後からの目」から見るとどうしても第1番は「まだまだ」と考えてしまいますが、「(歴史の)前からの目」で見ると、この創意はさすがだ、ということになる。その、古楽ならではの「前の目」で、第1番の魅力が解き明かされています。クリエイティブな演奏と言えば、その一語です。最後に納められたベートーヴェンの第4交響曲は、もちろんいいですけど、演奏として、まだ先があるように思いました。

競争相手はいろいろありましたが、新聞では、コンチェルト・ケルンがカルミニョーラをソロに迎えたバッハのヴァイオリン協奏曲集(アルヒーフ)に言及しました。芯のぴしりと通った演奏が心地よかったので。