2月のCD選2015年03月06日 10時32分22秒

遅くなりました。2月のCD、特選盤に選んだのは、デイヴィッド・ジンマン指揮、トーンハレ管弦楽団のストラヴィンスキー《春の祭典》(ソニー)です。

ロトのピリオド現代楽器による録音(面白い!)などでふたたび脚光を浴びている《春の祭典》ですが、このCD(BSCD2方式の録音で、音がいい!)には、1913年の有名な初演に用いられた自筆譜稿(世界初録音だそうです)と1967年の決定稿が、両者を比較するプレレクチャーとともに収められています。

違いも興味深いですが、劣らぬ長所は、やっている演奏者たちがその過程で《春の祭典》の勘どころを習得し、意識するようになっていること。結果として演奏が、見通しの利いた、とてもわかりやすいものになっています。この作品の入門にもいいのではないでしょうか。

対抗盤として考えたのは、小澤征爾指揮、水戸室内管弦楽団によるベートーヴェンの第4・第7交響曲(デッカ)。じつにオーソドックスで、若々しい覇気に驚かされるベートーヴェンです。とくに第4番がすばらしく、小澤さんに老年はないんだなあと感じ入りました。映像なしでの印象です。

真逆の熟した味わいを楽しんだのが、ネルソン・フレイレのショパン(デッカ)でした。ただし第2番のコンチェルトは、やはり若者の音楽かもしれないと思いました。

新聞では、ティーレマン指揮、ドレスデン・シュターツカペレのコンサートの批評を出しました。すばらしい演奏、ただし《英雄の生涯》にはアイロニーが欲しい、という論旨です。今月は、ヤノフスキ指揮のベルリン放送響をやります。