会心のコンサート2016年02月28日 01時20分41秒

いつもベストのものをお届けしたいと思ってやっていますが、人間のやることですから、会心の出来、と思えるコンサートは、そうそうありません。それに今日(27日)、いずみホールで恵まれました。3年にわたるモーツァルト・シリーズの最終回。曲目は《レクイエム》(+小ト短調交響曲)でした。

長らくウィーン楽友協会との提携で行っていた「ウィーン音楽祭」を一区切りにして、3年余り経ちました。でもやっぱり《レクイエム》には、楽友協会合唱団を招きたい。その思いが楽友協会の方々の思いと出会い、今日のコンサートが実現しました。脱帽の名演奏。伝統は、やはり伊達ではありません。

やわらかいハーモニーが、客席のすみずみまで染み渡るような合唱。芸術的なオーラが立ち昇ります。日本側のソリスト(市原愛、加納悦子、鈴木准、山下浩司)が抜群の出来で、目を見張るほどのチームワークだったのですが、加納さんによると、すばらしい合唱に合わせていくことで、自然にこうした音楽ができてきた、とのこと。大阪フィルがさすがの実力を示したことに加え、指揮者のマティアス・バーメルト氏が老練な手腕で要所を引き締め、すべてが作品に向かって献身するという、私の理想とする音楽が実現できました。終了後置かれた長い沈黙が、お客様の感動を物語っていたと思います。

これだけの演奏で聴くと、〈サンクトゥス〉、〈ベネディクトゥス〉、〈アニュス・デイ〉の「ジュースマイヤー楽章」が、ずいぶん立派に思えてきます。合唱団の招聘はおいそれとはできないのですが、ホールにとってこれはどうしても欠かせない、と認識せざるを得ないコンサートでした。

美声輝き、しかもアンサンブルに献身した鈴木准さん。3月5日(土)、立川錦地域学習館に登場されます。毎年の「錦まつり」、目下進行中の「すばらしい!」シリーズの、テノール篇です。モーツァルトからブリテン、武満まで、鈴木さんの大好きな曲を集めたプログラムですので、ぜひお越しください。ピアノは久元祐子さん、私が司会、入場無料(!)です。席には余裕がありますので、お待ちしています。(14:00から。立川駅から15分見ておいてください。)


無造作な写真ですみません。左から私、楽友協会代表のトーマス・アンギャン氏、その夫人、楽友協会合唱団幹部のアードラー氏、いずみホール水畑副支配人、田辺支配人です。チームワークでやってまいります。