6月のCD2016年07月04日 03時29分16秒

後追いになりましたが、先月のCDから目についたもののご紹介です。

私はバッハに入る前、ロマン派のスタンダード・ナンバーを、レコードを買っては聴いていました。その中にあったのが、オーマンディとフィラデルフィア管による、チャイコフスキー《白鳥の湖》の抜粋版でした。覚えるほど聴いたものです。

それをありありと思い出した新譜が、クリスティアン・ヤルヴィ指揮、グシュタード音楽祭管弦楽団による《白鳥の湖》組曲(ソニー、2,600円+税)です。売り出し中の指揮者、クリスチャン・ヤルヴィが開始したチャイコフスキー・プロジェクトの第2弾で、彼自身が編集・編曲を行っています。

いささか強引なダイジェストなのでバレエをやる方にはお薦めできないでしょうが、名旋律がことごとく網羅されていて起伏豊か。バレエの軽快な感覚が伝わってきて、楽しさ満点です。

もう《白鳥》は卒業したよ、という方もいらっしゃることでしょう。そうした方々には、同プロジェクト第1弾の劇音楽《雪娘》があります。あまり演奏されない初期作品ですが(歌も入る)、ロシア情緒に満ちており、ヤルヴィが意欲的に再現しています。

古楽ファンには、渡邊順生さんが新たに録音された「フレスコバルディ/フローベルガー・チェンバロ作品集」(ALM)をお薦めしましょう。深い作品理解で弾かれたフローベルガーの詠嘆が、日本人の心に染みてくるはずです。