誠実な取り組みの成果2008年09月17日 23時21分13秒

今月のCD選は、作業が北陸演奏旅行のちょうど前後となり、厳しい作業でした。しかしよいものも多く、最後まで候補としていたヘンゲルブロックのヘンデル/カルダーラ、イム・ドンヒョクの《ゴルトベルク変奏曲》を見送る結果になりました。

私は目立たないところいあるいいものをなるべく見逃さないようにしているつもりですが、今月はすばらしいものがあったのでご紹介します。辻裕久(テノール)、なかにしあかね(ピアノ)、海和伸子(ヴァイオリン)の3人による、ヴォーン・ウィリアムズの歌曲集(ALM)です。

2曲のイギリス民謡のあとに歌われる3つの歌曲集、《旅のうた》《牧場に沿って》《生命の家》に親しんでいる人は、おそらく少ないのではないでしょうか。私にとっても、知らない曲ばかりです。でもどれも、風格と味わいのある、じつにいい曲。そう思ってしみじみと聴き続けたのは、まちがいなく、演奏がいいからです。イギリスの自然や風土、人情がすっかり体得されるまで、よく勉強されています。訳詞しかり、解説しかり。辻、なかにしのお二人とも、留学時代から、フォーン・ウィリアムズをライフワークにされていたのですね。愛のある、誠実な取り組みに感銘しました。

これを第2位とし、1位にはアバド~ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲全集(DVDのCD化)を選びました。人間のあたたかさがほかほか立ちのぼるようなベートーヴェンで、スリムな室内楽志向が見えるのもベルリン・フィルとしては画期的です。

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