最近の読書から ― 2008年09月19日 23時42分25秒
ここしばらくの間に読んだ本で抜群に面白かったのは、日高敏隆さんという動物学の先生の書いた『動物の言い分 人間の言い分』という新書(角川oneテーマ21)です。動物の姿や行動のひそめている理由をさまざまに解き明かし、なるほど~、と、目から鱗が落ちる思いを再三経験させてくれました。
ネタの面白さに劣らず感心するのが、文章。たとえばある章は、「キリンの姿は想像を絶するものである。」と始まっています。この簡潔で要を得た表現に感心してしまい、何度も反芻。続いて、こんなに背が高く、心臓と脳の離れた動物がどうしてちゃんと生きていられるのか、という問題提起へと進むのです。勉強になりますね。
たくさんの話題の中でいちばんへえと思ったのは、上下が逆に見えるメガネをかけて暮らしてみた人の話。1週間経つと脳が覚えて、逆転していた像が正常になったそうです(!)。したがって、メガネをはずしてから倒立している像が正常になるまで、また1週間かかったとか。感覚の部位と脳は自立しているんですね。
コメント
_ 白蝶 ― 2008年09月22日 05時35分35秒
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
ところで、私は子どもの頃、蝶々の採集に熱中していたことがあり、そのせいもあって、日高敏隆さんの随筆は昔から大好きです。 動物や植物や昆虫の、色んな行動が色々と紹介してあって、本当に面白いですね。そして、それが不思議と人間の生きていく上での叡智にまでつながっていきそうな、深い示唆にも富んだ文章だと思います。
「第50回 日本エッセイスト・クラブ賞」受賞の、『春の数えかた』も、とてもいいですよ! http://www.shinchosha.co.jp/book/116471/
あまりに嬉しくて、思わずコメントしてしまいました。