意外に正確 ― 2008年12月14日 22時56分54秒
私は、楽譜の指示をきちんと守った演奏が好きです。もちろんそれは古楽の話ではなく、演奏家に楽譜通りの演奏が求められるようになった、近代の音楽に関してです。
楽譜の指示にはほどほどに従っておけばよい、という場合もあることでしょう。ヴェルディのオペラ、たとえば《オテロ》などの歌い手に対する演奏指示はものすごく細かいですが、あれをシンフォニーと同じような感覚で再現したら、かえって不自然になってしまうかもしれません。しかしその「案配」も含めて、なるべく楽譜を生かすことが大切だと思います。
先日あるゼミで学生が、プッチーニの《ラ・ボエーム》第1幕について発表しました。画面にはパヴァロッティの若い頃の映像が出ている。それを、少しですが、楽譜を見ながら聴きました。
そしたら、驚くほど正確なのですね。たとえば、フレーズの終わりがきちんと楽譜通りに、長い音は長く、短い音は短くなっている。歌の人は短い音でも延ばす人が多く、実演ではとくにそうなりやすいと思っていたので、意外の感に打たれました。
ところでパヴァロッティは、楽譜を直接読んで覚える人でしたっけ、それとも弾いてもらって、耳から覚える人でしたっけ?その時の話し合いでは、耳からの人の方がとことんやるので、かえって後まで正確なのではないか、ということになったのですが、どうなんでしょう。いずれにせよ、感心しました。
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