学生の演奏2011年05月08日 08時02分47秒

私は、学生の演奏に感動することが、よくあります。聴き方の基準を変えているのか?と聞かれれば、そうかもしれません。しかし音楽の神様がひそかに喜ぶ瞬間というのは、プロのレベル高い演奏家に占有されているものではなく、勉強中の若い人の演奏にも、相当あるような気がするのです。

それは、技術の問題ではない。条件は、その人が音楽と真摯に向き合い、自分なりに熟慮と工夫を重ねているかどうかです。その過程で、何か重要なものが発見されるという瞬間が訪れる。そうすると、楽譜の音がすみずみまで意味付けられ、音楽に血が通ってきます。こういう瞬間に立ち会う喜びは一種特別なもので、教育の場にいてこそ味わえるものかもしれません。

こういう体験は、往々にして少人数のクラスや個人指導の現場で訪れます。たくさんの人が聴いてくれたらいいのにとも思いますが、なかなかそうはいきません。金曜日には1日に二度こうしたことが起こり、幸福な気持ちになりました。演奏家のキャリアやレベルとは別のところで充実した音楽体験があることを、大切に思うようになっています。

コメント

_ A子 ― 2011年08月09日 12時51分29秒

お元気でご活躍の由、なによりでございます。私は今から約20年も前に某大学で先生の「音楽美学」を受講した者です。一般教養科目の一学生ですから、先生のご記憶にはないかも知れません。先生のブログに出会い、勉強させていただいております。最近は作曲や音楽の演奏に携わっていますので、聴いていただける日が来れば幸甚に存じます。

_ I教授 ― 2011年08月10日 23時15分41秒

A子さんこんにちは(このハンドルには一瞬驚きました)。「某大学」を推定しようと思いましたが、「音楽美学」という講義は集中でもやっている可能性があるので、断念。でも何かが残っていてくれるのなら、嬉しいです。お元気でどうぞ。

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