ボローニャの《カルメン》2011年09月16日 23時18分34秒

元気を回復して、高能率で仕事。とてもできないだろうと思っていたゲラの直しを完了して、今日、出版社に戻しました。どうやら、10月20日出版の線で行けそうです。

仕事の間を縫って、昨日、今日と、コンサートに行きました。昨日は、異能の歌い手、松平敬さんの、超個性的な無伴奏(!)リサイタル。今日は、ボローニャ歌劇場の《カルメン》です。

ボローニャ歌劇場は、売りだった主役の6人がキャンセル(ひとりは死亡)。病名をそれぞれに公表するなど、謝罪に大わらわです。プログラムが来ない人たちの華麗なインタビューで埋まっていたのはあらあらという感じですが、代役は、しっかり立っているのではないでしょうか。《カルメン》では、ホセもエスカミーリョもミカエラもなんと交代したのですが、代役は悪くありませんでした。アルバレス(ホセ、カウフマンから交代)の第4幕など、迫真の演唱。しかしこういう人は、何かをキャンセルして来日するわけですよね。どういう理由を付けているのか、気になります。

《カルメン》はやっぱり、曲がいいですね。エキゾチックなところもいいが、私は第2幕の5重唱や第3幕の6重唱のようなスケルツァンドな曲もすてきだと思います。音楽的には、転調が個性的で、面白い。いずれにしろ、誰にでも楽しめる音楽です。

最初のうちは、イタリア人がフランス・オペラをやると曲線が全部直線になるな、などと思って聴いていたのですが、徐々に引きこまれました。場面は1990年代のキューバ、エスカミーリョはボクサー。こうした設定を私はけっして喜びませんが(演出家はラトヴィア人)、しかし押さえるところは押さえた舞台なので、許容範囲ではあります。

驚くほどスタイルのいいカルメン(ニーナ・スルグラーゼ)に、巨体のミカエラ(ヴァレンティーナ・コッラデッティ)。肉付きのいいカルメンに清楚なミカエラという先入観があったのでびっくりしましたが、リアリティからすればこれはこれでありかな、と納得。NHK児童合唱団は、のびのびしていて、とても良かったと思います。

毅然としたカルメンに、情けないホセ(第4幕)。当初は斬新な設定だったのでしょうが、いまはよくある、むしろありすぎる光景なのかもしれませんね。というわけで、なかなか楽しめました。来週は《清教徒》に行きます。

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