ダークサイド?2014年06月08日 23時51分30秒

私が副会長として関与している「藝術学関連学会連合」(藝関連)の第9回公開シンポジウムが、7日の土曜日、東京国立近代美術館で開かれました。「藝術の腐葉土としてのダークサイド」という、一種奇抜なテーマを掲げたこのシンポジウム。チラシには、「老い・倦怠・挫折・過疎・・・・文明的生の腐葉土を滋養に換え、アートは芽吹いている」というなかなかの文章が載っています。まさに「野心的」(西村清和会長)なテーマです。

この日は大雨で、ICUから「警報が出ていますが授業は実施します」という連絡が回ったほど。受講者の数を心配しながら、委員会を終えて会場に向かいました。着いたのがちょうど、午後1時になってしまいました。

地下の会場に降りてみると、受付の学生さんとパネリストの方々がおられるだけで、がらんとしています。少ないとは思ったが、まさかゼロとは。これは、究極の内輪向けシンポジウムだな・・・と覚悟を決めたところ、開始は1時半と判明。なんとか、一定数のお客様を確保できました。

藝関連のホームページにもレジュメが載りますので、全部は紹介いたしませんが、面白かったですね。とくに美術史学会・山本聡美さんの「醜い身体--日本中世仏教絵画における病と死」という発表は、仏教経典における因果応報思想と図像との関連が克明にたどられていて、バッハを考える上で、とても参考になりました。律法における病死への考えをどう克服してゆくかが、イエスの課題であったと同時に、バッハの問題意識でもあったと思うからです。

東洋音楽学会・ジェラルド・グローマーさんの「瞽女--差別と芸能」という発表も、かつて私のもとでいい卒論を書いた学生がいたことを思い出し、胸に迫るものがありました。外国人が古文書に分け入って行う研究、たいしたものですね。

最後、5分間の閉会スピーチをする役割が回ってきました。皆さんへのお礼とともに上記のことも述べたいと思い、シミュレーションもして前へ出たのですが、私としたことが、しゃべることを忘れ、しばし立ち往生してしまったのです。いわゆる「頭が真っ白」の状態。この期に及んで、人前で上がるとは思いませんでした。次回はメモを取ります。

神保町で打ち上げ。疲れてしまい、二次会は失礼しました。