今月のCD2014年09月23日 06時44分36秒

サイトウ・キネン・フェスティバルの贅を尽くした公演(《ファルスタッフ》)を久々に満喫したところへ、2013年のライヴが出ました。ラヴェルの歌劇《こどもと魔法》。とても楽しめましたので、今月の特選盤とします(デッカ)。小澤征爾さんの復帰で話題を呼んだ公演です。

舞台写真は、ディズニーの『アリスの不思議な国』のよう。音楽は明晰にしてシャープ、時にエキゾティックで、洒落とユーモアがあります。密度の高い演奏の背後には小澤さんの目が鋭く光っている感じですが、そこに「童心」と呼びたいファンタジーが豊かにたたえられているのが、さすが。キャストはいつもながら、本場の一流揃いです。

対抗盤として考えたのは、ハイティンク指揮、バイエルン放送響によるシュトラウスの交響詩《ドン・キホーテ》(ソニー)です。ロマンと気品に満ちた演奏のおかげで、この曲が好きになりました。独奏はホルヌング、彼の弾くチェロ・ソナタが併録されています。

もうひとつ、今川映美子さんのシューベルト・ピアノ曲集(ALM)を挙げておきましょう。《幻想ソナタ》以下、音楽がみごとに流れていて、心地よく楽しめます。