《冬の旅》!2014年12月16日 07時13分27秒

27日の《冬の旅》のために、解説と字幕を用意しなくてはなりません。「自筆譜稿による」なとど謳っていますから、研究が先決。このところ寸暇を惜しんでそれに取り組み、解説と対訳を完成しました。

自分で訳してみてはじめて実感できる、この作品のすごさです。なるほどそうか、こうつながるのか、と思えるところが、自分なりにずいぶんあり、目下、《冬の旅》に夢中。その成果(?)は当日を楽しみにしていただきますが、解説のワン・パラグラフだけ、引用しておきます。

「《冬の旅》は、詩も音楽も、考え得るかぎりの厳しい世界を展開する。だが確かなことは、主人公の旅は逃避でも自暴自棄でも狂気でもなく、明確な目的意識をもって頭を高く上げた者の意志的な選択であり、自己に課した修練だ、ということである。そこにあるのは妥協のない生への意志であり、死への願望は否定されてゆく。ミュラー=シューベルトは、生への意志が突き詰めて問われるのはぬくぬくした環境においてではなく、厳しい孤独においてなのだと主張している。」

梅津時比古さん(東京書籍)と三宅幸夫さん(春秋社)の《冬の旅》研究書に多くを学ばせていただきましたが、渡辺美奈子さんの博士論文(東北大学)『ヴィルヘルム・ミュラーの詩作と生涯~『冬の旅』を中心に』もじつに立派なお仕事で、勉強になりました。興味のある方にお薦めします。

コメント

_ 久美 ― 2014年12月20日 11時53分36秒

《冬の旅》のご案内を拝見したときからうらやましくて(ポスターもすてきです)、そうだ、わたしも手の届く範囲でささやかに冬の旅を体験してみようと思いました。ラジオ放送を録音したものがあったので数日、夜な夜な聴いておりました。フィッシャー・ディースカウとピアノはジェラルド・ムーアです。心をこめて聴きましたが、なにせ言葉がわかりませんので意味内容に共感するまではできません。が、こんなの夜に聴いて深刻な気持ちになってしまうかな?という予想に反して、最後のほうの透明な美しさに自分まで清潔になったような心地がありました。その理由が この礒山先生の解説を読んでわかりました。当日会場では先生の訳がつくんですね。うらやましいです。
こちらは北海道です。冬は乗り越えるに値する試練、修練かもしれません。険しいけれど負けません。

_ I招聘教授 ― 2014年12月22日 23時14分29秒

今年の冬ですから、北海道はさぞたいへんでしょう。《冬の旅》を本当にわかるのは、北海道の方々ではないでしょうか。私も一応寒冷地に育ち、山登りもしていましたので、ある程度までは、理解できます。しかし豪雪の経験は、あまりないのです。

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