今月は、ハイドンを取り上げました。ハイドンは古典派じゃないの、という声がすぐ出そうですが、「古楽としてのモーツァルト」という企画をやったときから、ハイドンをやらなくては、と決めていました。ハイドンはモーツァルトより24歳年上、J.C.F.バッハと同い年の1732年生まれだからです。
そこで照準を初期に定めて、CDを集めました。しかしハイドンの初期は資料不足のため研究がまだ進んでおらず、真偽不明、年代不明の作品がたくさんあるばかりか、ジャンルも多岐にわたっている。作品表を調べるだけでも四苦八苦、という状態になりました。
でも、やってよかったと思っています。なぜなら、その質の高さは並大抵のものではなく、平素あまり親しんでいなかったことを反省させられたからです。4日間を費やしても、ご紹介できたのは氷山のほんの一角でした。
4月13日(月)は、少年時代の作品の中で例外的に現存している《小ミサ曲ヘ長調》(1749年/17歳、演奏はバーディック)で始め、オルガン協奏曲第1番(1756、コープマン)の後に、交響曲第31番《ホルン信号》(NHKでは《狩の合図》)から、2つの楽章(リベラ・クラシカ)。昔の『名曲解説事典』(のちの『全集』)は、交響曲の巻の最初が、この曲だったのです。
14日(火)は弦楽器篇。弦楽四重奏曲第1番(ハーゲンQ)と、バリトン(弦楽器)入りのディヴェルティメントイ長調(リチェルカール・コンソート)、ヴァイオリン協奏曲第1番(カルミニョーラ)です。
15日(水)は鍵盤楽器篇。選曲が難航しましたが、最終的には特殊楽器のための後期作品も入れて、色とりどりの形にしました。ピアノ・ソナタ第7番(ホーボーケン番号。演奏は綿谷優子のチェンバロ)、同第23番(久元祐子のフォルテピアノ)、笛時計のための小品3曲(ホルツアプフェル)、リラ・オルガニザータ協奏曲第3番(コワン)、《皇帝讃歌》とその変奏曲(ローラウ/ハイドン博物館のフォルテピアノで演奏したもの)。リラ協奏曲の第2楽章は《軍隊》交響曲の原曲です。
16日(木)は宗教音楽篇。20代の《サルヴェ・レジーナ》(ヴァイル)、30代の《スターバト・マーテル》(抜粋、ピノック)を聴き、《告別》交響曲のフィナーレ(リベラ・クラシカ)で締める形にしました。ハイドンは器楽作曲家とみなされていますが、ウィーンの聖歌隊で成長しただけあって、宗教音楽がすばらしいです。とくに、《スターバト・マーテル》。
なんとなくむずかしそうですが、活気のあるわかりやすい曲がほとんどです。朝の時間にお楽しみいただければ幸いです。
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