7月二度目の「古楽の楽しみ」~ヘンデル2015年07月26日 11時03分53秒

番組の事情で、今月の出番が2回になりました。明日から始まる2回目は、ヘンデルのオペラ特集としました。

27日(月)はロンドンでの出世作《リナルド》。〈涙の流れるままに〉というアリアが有名ですが、真の主人公は魔女のアルミーダかもしれません。演奏はホグウッドです。

28日(火)は《アリオダンテ》。イタリア・オペラですがスコットランドを舞台にしています。放送ですからバレエの場面を中心に編集しました。指揮はミンコフスキ。

29日(水)は《アルチーナ》。ヘンデルは魔女の造形を好みますが、アルミーダはエルサレムを包囲した十字軍に立ちはだかる魔女、アルチーナは《狂乱のオルランド》に出てくる魔女です。これにはアラン・カーティスの演奏を選びましたが、それは、バレエ音楽をきちんと収録しているから。ディドナートらの歌い手が、華麗な装飾唱法を展開しています。

30日(木)は《セルセ》(クセルクセス)を予定していたのですが、セルセのCD全曲盤が間に合わず、《ジューリオ・チェーザレ》(ジュリアス・シーザー)に変更しました。これは横綱級の作品で、名曲も満載。その中からシーザーのアリア3曲とクレオパトラのアリア3曲をつないで物語を進め、フィナーレで締めることにしました。演奏はミンコフスキ。メゾのコジェナーが、クレオパトラをみごとに歌っています。最後はあえて時間を残し、ショル歌うところの〈オンブラ・マイ・フ〉(《セルセ》冒頭曲)を押し込みました。

華麗奔放なヘンデルのオペラはやはり第一級の音楽ですが、今回気づいたことが1つあります。それは、ヘンデルの特有のよどみない旋律の魅力が、絶妙のリズムの裏付けで作り出されているということです。たとえば〈牧場の花も〉という、チェーザレのアリアがありますよね。順次進行の単純な音並びが、拍節のダイナミズムと密着したリズムの効果で、魅惑の旋律へと大化けしています。やはりリズムが、音楽の根源であるようです。