今月の「古楽の楽しみ」2017年06月09日 00時43分30秒

今日(8日、木)は、番組後半の収録日でした。昨日の打ち合わせで時間調整のためヘンデルを1曲増やすことになり、CDを持参することにしていました(ふつう、前もって郵送しておきます)。

ところが、旅行前であちこち気が行っているせいか、けろっと忘れてしまったのです。立ち往生しましたが、幸い私が大量に使う輸入盤ではなかったため、NHKのライブラリで見つかり、事なきを得ました。形が決まりましたのでご案内します。今月は、4月にやった聖母マリア特集の、続編です。

12日(月):前回たどり着いた17世紀初頭のイタリアから、出発することにしました。中では修道女作曲家、コッツォラーニの作品がなかなかの聴きもので、カリッシミもさすがにいい曲です。
 ・ジェズアルド《アヴェ・レジーナ・チェロールム》 マリアン・コンソート
 ・G.P.チーマ《教会コンチェルト集》より 2声のソナタ、《マリアは天に昇られた》 ドルチ指揮 ムジカ・フィオリータ
 ・グランディ《おお、お前はなんと美しい》 へミントン・ジョーンズ(ソプラノ)他
 ・コッツォラーニ マニフィカト、ディアローグ《なんと惨めなことか》 ブラチュケ指揮 オルランド・ディ・ラッソ・アンサンブル
 ・A..チーマ 4声のソナタ ムジカ・フィオリータ
 ・カリッシミ 《ローマのアリオン》からモテット2曲 コルッソ指揮 センチェントノヴェチェント

13日(火):16世紀スペインと、17世紀フランスの特集です。光り輝くようなイメージの曲が多いですが、最後のシャルパンティエが、録音していてとりわけ感動的でした。
 ・ゲレーロ 《めでたし、いとも聖なる乙女》 マリアン・コンソート
 ・セバーリョス 《おお、祝福された乙女》 同
 ・ビクトリア 《めでたし、海の星》 ザ・シックスティーン
 ・デュモン 《おお、いとも甘美な》 ドセ
 ・シャルパンティエ 《聖母マリアへのリタニア》 クリスティ

14日(水):イタリア18世紀に入ると、がらりと雰囲気が変わります。にぎやかな人間の世界に降りていく、という感じです。
 ・アレッサンドロ・スカルラッティ 《サルヴェ・レジーナ》 ハジェット
 ・ヴィヴァルディ 《サルヴェ・レジーナ》 レーヌ(CT)
 ・ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲《聖母マリアのいとも聖なる被昇天のために》 ビオンディ
 ・フックス 《スターバト・マーテル》 ドゥフトシュミット

15日(木):イギリスの15世紀は前回何曲かやりましたが、16世紀の宗教改革以降は、聖母マリア作品は少なくなりますね。結局、ヘンデルのイタリア時代の作品が中心になりました。
 ・タリス 《見よ、奇跡を》 クレオベリー
 ・パーソンズ 《アヴェ・マリア》 マリアン・コンソート
 ・ヘンデル 《天で輝く聖母よ》 フォン・オッター(Ms)
 ・ヘンデル 《これぞ乙女たちの女王》 カークビー(S)

16日(金):宗教改革後のドイツにマリア関連の音楽を探す、という趣旨で選曲しましたが、意外にいい曲が揃いました。ご注目ください。
 ・ヒエロニムス・プレトリウス 《お立ち、急ぎなさい、私の恋人よ》 エラス=カサド
 ・シュッツ 《おお、お前はなんと美しい》 アルテ・ムジーク・ドレスデン
 ・ミヒャエル・プレトリウス 《ドイツ語マニフィカト》 ヘルガート
 ・バッハ カンタータ第10番(ドイツ語マニフィカト) コープマン
 
いろいろ勉強し、聖母マリアをめぐる音楽の歴史的な厚み、高みが本当によくわかりました。よろしくお願いします。