2017ドイツ滞在記(4)ーー絶対の穴場、アルテンブルク2017年06月25日 22時56分22秒

14日(水)は、昼間自由行動。元気も出てきたので、予定の決まっていなかった「すざかバッハの会」の方々と一緒に、アルテンブルクを訪れることにしました。バッハが当地城館教会のオルガンを弾いたことが記録されている、ゆかりの地です。

アルテンブルクは、Sバーン(JRの大都会線に相当)で行ける、ライプツィヒの近郊。直行の列車に乗ったのですが、途中なぜか「ここが終点」と言われ、20分待ちで、別の列車に。その後さらにもう一つ乗り換えがあり、結構時間を食いました。こういうことがよくあり、いかに日本の鉄道がすばらしいかを、再確認。しかしまごつく乗客を「こっちですよ~」と引率する人の良さそうな車掌さんがいるのも、ドイツならではです。

アルテンブルクなんて、普通の人は知らないですよね。有名なところに行ってみたいというのが、旅行者というもの。しかしここは、少なくともバッハに関心のある人にとっては、第一級の観光地です。小村かと思ったら、さにあらず。風格のある古都市なのです。

駅から市心はかなり離れ、傾斜もあります。ですので誰にでもお勧めできるかどうかわかりませんが、そこを歩いて探索するのが価値で、バスで直接連れて行ってもらうのでは味わえない喜びがあります。町は、閑静そのもの。

 
城館への坂道を登ると、尖塔の目立つ町並みが見渡せます。


息の切れた頃、城館に到達しました。


中央の色の違うところが、古くからの教会です。プレートを発見!


「ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1739年に、城館教会のトロースト・オルガンを演奏した」と書いてあります。教会に入ると、狭い空間にトロースト製作の由緒あるオルガンが、のしかかるように据え付けられていました。


その威容に見とれていると、演奏が始まったではありませんか!曲は、プレリュード変ホ長調BWV552。まさかバッハの最高傑作を聴けるとは思わなかったので、感無量でした。

ふと気がつくと、1739年はバッハが、この曲を含む《クラヴィーア練習曲集第3部》を改宗200年のライプツィヒで出版した年にあたります。まさに時宜を得た作品が、バッハの称賛したオルガンで、鳴り響いたわけです。

尋ねてみると、オルガンが演奏されたのはわれわれの直前にガイド付きのツアーが入っていたからでした。ちょうどそれを追いかけるように入れたのは、2度の乗り換えで列車が遅れたため。それもこのためにあったのか、と思えてなりませんでした。

駅へ戻ると、帰りの列車は遅れていて、いつ来るかわからないとのこと。仕方がないのでタクシーで戻り、《ヴェスプロ》の解説会に間に合わせました。シチリア出身の陽気な女性運転手がしゃべりっぱなしで、相づちを適当に入れるのに苦労しました(笑)。