計算がたいへんで・・・2017年12月24日 15時33分10秒

今年の仕事も、大詰め段階。22日(金)は、NHK「古楽の楽しみ」録音の最終日でした。

番組の準備には、かなり手間がかかります。手間の度合いは条件によって異なりますが、まちがいないのは、専門から離れるにしたがってたいへんになること。最近のように「・・の歴史」といった企画を立てると、離れたところから出発せざるを得ず、課題が多くなります。

予備知識が少ないですから、どんな曲があるか、どんな録音があるか、というところから始まり、集まった素材から趣旨にマッチするものを選び、それらを時代を追って、あるいは地域を経めぐる形で、並べてゆく。枠組みは「54分40秒」。少し短くても終了テーマが肩代わりしてくれますが、超えてしまうとアウトです。

歴史を遡るほど曲は短くなるので、たくさんの組み合わせが必要になります。候補曲のどれとどれを組み合わせるかは、最初は音楽的な問題ですが、進むにつれて、足し算引き算という数学的な問題になってゆきます。

私が計算に強ければ、それもまた、シンプルな作業でしょう。問題は、私が計算に弱い、しかも日々弱くなっている、ということにあるのです。間違った計算を含む形で帳尻合わせをしてしまうと、曲を差し替え、解説を書き換えなくてはなりません。そしてそれが、いつもの作業なのです。

準備したCDを郵送した後、メールでディレクターに解説原稿を送ります。すると、その段階で計算間違いを指摘される頻度が、じつに高い。原稿に大ナタを振るって帳尻を合わせたのに、じつは前の形でよかったのだ、などということになると、目の前が暗くなります。しかしまた、「ジャケットには7分と書いてありますが、計ってみたら11分でした」、といったケースも、まれにあるのです。そうなるともちろん、根本的な再検討を迫られます。

今回もそうしたことが起こりましたが、なんとか3本を録音しました。目下、「変奏曲の歴史」というシリーズを準備中です。

終了後、サントリー芸術財団の忘年会へ。私は三宅幸夫さんの思い出話をして、献杯をするという役回りでした。最近はいつも書いたものを持つのですが、今回は紙に書くタイミングを失し、まあ大丈夫だろうと、ぶっつけで本番へ。

そうしたら、計画した話の段取りを思い出せず、2回、立ち往生してしまいました。やはり、書いておかなくてはダメですね、この歳になると。

立食の会合では飲みながら歓談に専念し、帰路ラーメンを食べるのが、いつものことです。この日もそうしようと思い、スイカのチャージをしてから地下鉄に乗りました。その結果財布が空になったため、銀行でお金を下ろしてからお店に入ることにし、吉祥寺で下車しました。

そうしたら、銀行のことなどすっかり忘れて、お店に入ってしまったのです。はっと気がつき、カードが使えるといいが、と、心でお祈り。レジでは案の定「うちはカードは取り扱っておりません」とのことで、うなだれた私はいったん店を出てお金を補充し、お詫びして支払いをしました。

こんなことばかり書いていますね。自分は果たして大丈夫なのかな、と思うことの多い、この師走です。

コメント

_ 久美 ― 2017年12月27日 11時21分58秒

曲を選んでコメントなさるだけでも相当なご苦労だろうとは思っていましたが、時間配分も構成のうちなのですね。こんなに手間をかけて作ってくださっているから礒山先生の番組は聞き応えがあるんだなとあらためて思いました。今年もたくさんの音楽聞かせていただきました。〈聖母マリアの会〉〈詩篇の会〉など印象に残っています。12月は番組がなくて何かとやる気がおきませんでした(人のせい)
礒山先生には手に汗にぎる仕事納めを終えお疲れをいやしておられるころでしょうか。
恒例の年間ベストを拝読して(催促)わたしも年末を感じたいと思っています。

_ I招聘教授 ― 2017年12月28日 21時27分09秒

久美さん1年間ありがとうございました。来年もよろしく。ベストは30日ぐらいにして、これからCD選を更新します。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック