ジュリアス・シーザー ― 2008年08月16日 22時11分52秒
ヘンデルのオペラ《ジュリアス・シーザー》のDVDをあらためて鑑賞しました。2005年グラインドボーン音楽祭のライヴで、演奏は、ウィリアム・クリスティ指揮のエイジ・オブ・エンライトゥンメント管弦楽団。作品といい、演奏としい、演出(デイヴィッド・マクヴィカー)といい、まれに見るすばらしさですね。圧倒されました。
いまどき、こんなに舞台が豪華で、衣装がきれいで、凝った動きがきちんとできあがっているプロダクションって、珍しいのではないでしょうか。クリスティの統率力はたいしたもの。ドラマの中からアリアが始まるところなど、「わあこの曲だっ!」とその都度思わせられるような形で、絢爛と立ち上がってくるのです。ナチュラルホルンが響くオーケストラの力強いこと、《花火の音楽》のごとし。
キャストがまた卓抜です。女性の歌う女性役2、男性が女声音域で歌う男性役2(←カウンターテナー)、女性の歌う男性役2で、とにかく高音域のアリアばかりが、次々とあらわれる(男性の歌う男性役は脇役1のみ)。カストラートの世界ですね。でもタイプの違う一流どころを揃えているので、違和感はありませんし、むしろ、オクターヴ下げて男が歌うのではダメなのだな、と実感しました。
学術文庫の拙著ではド・ニース(クレオパトラ)のど派手な活躍ぶりについて書きましたが、今回はそれ以上に、主役のサラ・コノリーに感心しました。まったく、度肝を抜かれる男ぶり。ダ・カーポ・アリアでの変奏も音楽的だし、二重唱ではソプラノを完璧にフォローしている。すばらしい歌手がいるものです。
昔の音楽史では、ヘンデル後半生のオラトリオを高く評価するあまり、オペラを軽んじていました。しかし、本格的に復活してきてみると、オペラの方が面白いですね。手持ちの映像だけで、8作品もある盛況です。演奏が平凡だと単調になりやすいが、一定レベルを超えると、急に作品が輝いてくるのが、ヘンデルのオペラであるようです。
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