トロイア戦争 ― 2008年11月13日 22時51分25秒
ちょっと緊張を要するスケジュールになっており、何人かの方にご迷惑をおかけしています。
そんな中ですが、松田治著『トロイア戦争全史』を読みました。私もお世話になっている講談社学術文庫です。面白さもさることながら、じつに勉強になりました。なにしろトロイア戦争は、芸術素材の宝庫。オペラにもカンタータにも採り入れられ、絵画にも豊富に描かれています。でもそれらの結びつきやつながりがどうなっていたのかは、昔少しは読んだのですが、すっかり忘れていました。
種々の伝承は、複雑に入り組んでいるに違いありません。それがこの本には、うまくまとめられています。なるほどそういうことか、と膝を打つこともしばしばでした。必須の教養書のように思います。
膨大な人物の血筋に関する情報が神話の中に形成されていることには、驚かされます。男は剛勇、女は優美の徹底した価値観や、神々が人間にたえず干渉し、戦争では二手に分かれて介入を繰り返すさまも印象的。ゲーテは《ファウスト》の第2部でヘレネーを登場させ、シュリーマンは、実在が疑われた都の発掘に取り組んだわけですよね。ワーグナーの北欧神話と通じる部分も多く、ロマンが広がります。
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