悪用する動物 ― 2008年11月17日 23時51分51秒
たくさんの貴重な書き込み、ありがとうございます。なるほと、司令塔をつぶして迷惑メール激減ですか。皆さんも、迷惑メールから解放されて快適でいらっしゃることでしょう。最近は、ネットの問題が、ニュースでもひんぱんに採り上げられますね。種を売っているとか、人を轢いたら逃げた方が得だと書いてあるとか。本当に人間は、悪用する動物です。
美学の入門書というと、佐々木健一さんの『美学への招待』(中公新書)、今道友信先生の『美について』(講談社現代新書)を挙げてきました。ところが最近、超入門書というべき本が出版されました。『爆笑問題のニッポンの教養』というシリーズに、佐々木健一さんの『人類の希望は美美美』という本が加わったのです。
インタビュー形式の本文にコラムを配したような形で書かれていますが、軽い外見の中に、深い内容が含まれています。「人間にとって『美』とは何でしょうか。私は、人間の精神には限界があるのだと教えてくれる現象が、美しさではないかと考えています」と始まる講義の格調の高さは、さすがに佐々木さん。この命題に、私はまったく同感です。
しかし、それなら美を生活の、また社会の原理として確立すればよいかというと、それもまたむずかしい問題ですよね。先日話題にしたトロイア戦争が物語るのは、美がいかに人間に災いをもたらすかということです。美もまた、悪用できるというか、人間の対し方ひとつで、災いの源泉になる。明日の音楽美学概論では、そのあたりの関係について考えてみようと思います。
コメント
_ chu-intermezzo ― 2008年11月21日 17時52分31秒
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佐々木先生の『美学への招待』は、強く感銘を受けた著書のひとつで、また、爆笑問題の太田氏は、中学生の頃からの大ファン(漫才より著作が好きだったりします)。
NHK総合「爆笑問題のニッポンの教養」はよくみているのですが、どういうわけかこの回だけ見逃しておりました。(動画サイトでも他の回でアップされているものはあるのですが、この回はなかなか見つからず・・・)
芸術の在り方の変遷など、あらためて読むと考えさせられるものがあり、でも、どんなにわかりやすくかみ砕いても、本当に難しいテーマだとつくづく思いました。
「美しさについて学んでいくことは、人間の精神にありがちな奢りを克服する非常に重要な手立て」
という佐々木先生の言葉、響きました。
番組では太田がしゃべってばっかりのようだったので(笑)、途中「佐々木先生の美学講義」が入っていたのもよかったです。
これと併せて東京藝術大学学長の宮田亮平先生の回(「アートのハート」)をみるとおもしろいかもしれません。