今月のCD/DVD選 ― 2009年09月29日 23時54分04秒
今月の第1位には、堀米ゆず子さんが児玉桃さんのピアノで開いたリサイタルのライヴ、「ヴァイオリン・ワークスⅢ」を選びました(ライヴ・ノーツ)。ヴァイオリンのいい演奏家は日本には本当に多くて推薦しきれないほどですが、一般には、楽器の美感を優先する人が多いように思います。その点堀米さんは、音楽に直接切り込むタイプで、気迫のある力強い音楽が、スピーカーから訴えかけてきます。バルトーク、ドビュッシー、野平一郎、モーツァルトの作品が演奏されていますが、表現意欲がはっきりしていてまことに爽快、と感じました。
映像がずいぶん増えてきたモンテヴェルディの《オルフェオ》ですが、ウィリアム・クリスティ指揮 レザール・フロリサンが2008年マドリードで上演した公演がDVD化されましたので、これを2位にしました(ダイナミック、輸入)。タイトルロールのヘンシェルにやや違和感を感じるものの、生気はつらつとした公演で、通奏低音の多彩な再現に、近年における古楽のレベル向上を実感します(たとえばアーノンクール盤と比べて)。
3位には、中井正子さんのドビュッシー・シリーズの補遺、「知られざるドビュッシー」を入れました(ALM)。《忘れられた映像》のほか、異稿や新発見作品が明晰な演奏で収録された、魅力的なアルバムです。
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