《ヴェスプロ》の新録音2011年06月26日 23時52分42秒

「古楽の楽しみ」でモンテヴェルディの《ヴェスプロ》(聖母マリアの夕べの祈り)を取り上げることになり、新しい録音を物色しました。クイケン、アレッサンドリーニ、プルハールの3つを購入しましたが、クリスティーナ・プルハールとラルペッジャータの2010年の録音(ヴァージン)が、じつにすばらしいですね。ガーディナー以来の名演奏と呼びたいと思います。

このCDには、DVDがボーナスで付いています。それを見ると演奏の実際がよくわかるのですが、長髪のプルハール(女性)がテオルボを手にどっしり中央に座り、全体をまとめている。しかし指揮者として一手に仕切るわけではなく、歌い手と奏者の自発性に、多くがまかされています。

各パート1名の歌い手と奏者たちがそれに応え、打てば響くような鋭さで、この上なく生き生きしたアンサンブルを作り上げていく。「こう歌いたい」「こう弾きたい」という気持ちが末端にまであふれている演奏の訴えかけは、すごいです。弦楽器、管楽器(コルネットやサックバット)のレベルもきわめて高く、装飾も縦横に入って、華麗そのものです。

こうした演奏で聴くと、《ヴェスプロ》のすばらしさは格別です。密度では、《ポッペア》を凌ぐように思います。お薦めです(放送は7/18、19に全曲)。