ビクトリア、歌舞伎2013年09月11日 11時01分53秒

北海道から帰り、《ゴルトベルク変奏曲》の話をした土曜日を挟んで、埼玉県合唱コンクール第3日へ(9月1日)。いくつかの部門に分かれていましたが、本当にようやく、ある程度のゆとりをもって対処できるようになりました。

課題曲は混声、男声、女声各4曲ずつあり、傾向の違う曲が選ばれています。必然的に何度も聴くことになりますが、やはり、光り輝く名曲がしっかり歌われると、うれしくなります。

すばらしいのは、混声の部の最初にあるビクトリアのO magnum mysterium。激戦となった大学職場一般/室内合唱の部では、1位、2位(私の順位=全体の順位)の団体が、どちらもこの曲に、抜きんでた合唱を聴かせてくれました。しかし、アプローチはまったく逆。一方はつややかで磨き抜かれたハーモニー(スカートラ・ディ・ヴォーチェ)、もう一方は、テキストへの共感を湧き上がらせる熱い演奏(あべ犬東)。どちらも、今なお記憶が鮮烈です。

3日(火)は、津の三重県文化会館に、松竹大歌舞伎を見に行きました。中村吉右衛門を総帥とする播磨屋一門の出演で、『連獅子』など。

歌舞伎では、役者が花道を退場するときに様式が発動されますよね。注目と喝采の中で、役者は姿を消す。こういう舞台芸術って、世界にどのぐらいあるでしょうか。ほとんどは、退場者は視線から外れて、静かにいなくなると思う。ここに、重要な価値観があるように思えてなりません。長幼の序、老の尊重、異界との接続などなど、いろいろな連想が浮かびます。勉強すると面白そう。

津の夜は静かですね。開いているお店もほんとうにわずか。翌日は午後の仕事に間に合わせるよう早起きし、海に行ってみました。海が近いと、どうしても行ってみなくなります。台風の余波で風が強く、海は荒れて、厳粛な趣を漂わせていました。本来なら見えるはずの知多半島も見えず、さいはての地に来たような気持ちになりました。残念ながら、写真を失敗。