年末年始の「古楽の楽しみ」2013年12月26日 07時23分41秒

今年の年末年始は、「バッハの冬のカンタータ」を聴いていただくことにしました。

30日(月)は、待降節の特集。コラール《来たれ、異邦人の救い主よ》をオルガンとBWV61の冒頭合唱曲でまず聴き、それに基づくコラール・カンタータBWV62を、ヘレヴェッヘの演奏で、さらに、待降節第4日曜日用のBWV132《道を備えよ》を、レオンハルトの演奏で聴きます。

31日(火)は、クリスマスから大晦日まで。クリスマス三が日は若き日の華麗な大作《キリスト者よ、この日を彫り刻め》BWV63で代表させ(演奏はコープマン)、次に、1724年の大晦日に初演された《新たに生まれたみどりごが》BWV122を置きます(演奏はガーディナー)。降誕を讃美しながら、新年への期待を高めるという内容のものです。少し時間が余りますので、《感謝しよう!いま年は終わりゆく》BWV28のすてきなソプラノ・アリアを、ジョアン・ランのソロで入れました。

1月1日(水)、元旦。《オルガン小曲集》の新年コラール〈あなたに喜びはある〉BWV615で開始し、1726年の新年カンタータ《主なる神よ、あなたをほめたたえます》BWV16を、BCJで。次に新年後の日曜日のための二重唱カンタータ《ああ神よ、いかに多くの胸の悩みが》BWV58を、クイケンで。BWV58はずっと前に国立音大で演奏したことがあり、なつかしい作品です。この2曲だとちょっと渋いので、有名なシンフォニアを冒頭にもつ主顕節後第3日曜日のためのカンタータ《私の片足を》BWV156を、アーノンクールの演奏で入れました。

2日(木)は厳冬期2月の作品です。まず、七旬節のための《自分の分を受けとって帰りなさい》BWV144をガーディナーで。同日用のソプラノ・ソロ・カンタータ《私は自分の幸福に満ち足りている》BWV84を、ナンシー・アージェンタのソロで。最後に、よく知られた六旬節用カンタータ《雨雪が天から落ちるように》を、フィリップ・ピエルロで。厳冬期のカンタータは短いですから、各カンタータで使われているコラールに、オルガン・バージョンを配することができました。

いずれのカンタータも美しく、聴き応えがあると思います。しかしやっていて気になったのは、その濃厚なキリスト教色が、日本のお正月に合うかどうか、ということです。たとえば、元旦に放送するBWV156《私の片足は》の歌詞は「墓穴に入っている」という流れになり、死と向かい合う、いかにもバッハ的な内容です。私自身の中にあるお正月のイメージとも、かなり違います。とはいえ、自由な放送をさせていただけるのは、ありがたいことですね。

コメント

_ 森口 ― 2013年12月26日 17時52分16秒

先生の番組、いつも楽しく拝聴しています。昨今さまざまな動きがありますが、NHKが今後も自由な放送のできる公共メディアであり続けることを強く願わずにはおれません。

_ I招聘教授 ― 2013年12月27日 23時40分49秒

とても自由なんですよ。特定の宗教に深入りしている、というチェックがいかにも入りそうですが、一度も言われたことはありません。

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