立ち往生2013年12月01日 10時15分39秒

朝日カルチャーの講座を開くときは、詳細なレジュメをメールで送り、画像や楽譜をUSBメモリに収めてもってゆきます。受領報告が来るよりは家を出る方が早いので、届いていなかったら困るな、という思いが頭をかすめますが、過去にそうしたことは一度もありませんでした。しかし30日の土曜日に横浜で、それがはじめて起こったのです。レジュメは進行の頼りですから、「ええっ」と立ち往生してしまいました。

原因は、油断です。29日(金)が11月の最重要日で、切迫した移動や責任の重い会合を済ませ、ほっとして帰宅すると竜王戦という流れになって、緊張が緩んでしまいました。したがって《エリーゼのために》を素材としてロンド形式を学ぼうという入門講座の準備が遅れ、時間が迫ってから、「エリーゼとは誰か」を調べたり、ロンド形式の実例の楽譜スキャン、CDの準備などで大混乱になりました。レジュメも準備はしたのですが、送付の最後の一押しを忘れて出てしまったのです。

そもそも準備に不安があるのに、レジュメがない。まさに瀬戸際の場面で、気合いが入りました。何年ぶりかで黒板を駆使し、全力を尽くしてプレゼンテーション。結果オーライで講座への責任感も新たにしましたが、やはり準備は早く始めなくてはダメですね。今後はレジュメも、USBメモリに入れていくことにします(メモリを忘れる危険もあり)。

夜のコンサートは荻窪。時間がありましたので、代々木の紀伊国屋書店でモーツァルトの文献を購入し、コーヒーショップで調べを進めました。しばしば都内で発生する空き時間の活用法としては、これが一番いいようです。コンサートの後、荻窪北口に密集するラーメン屋のひとつ、「十八番」へ。絶品、お薦めです。

今月のイベント(1)2013年12月02日 23時23分04秒

今日大岡山の「あんのん指圧鍼灸」に行きましたら、このブログを読んで訪れた方がおられたとのこと。ずいぶん感謝されてしまいました。いかがだったでしょうか。よろしければ、ご感想を。

さて、いつも後追いになる、今月のご案内です。芸大、聖心女子大の授業は残り少なくなってきましたが、今月から、ICUの授業が始まります。当面、3つが並行して進みます。ICUは、「人間理解論」という枠組みなので、音楽家の芸術と人間性の関係について、さまざまな角度からお話しする計画です。面白い枠組みがあるものですね。

大阪音大の講義も、この13日です。既報のごとく、カンタータ第179番を素材に、バッハ研究の多様なアプローチを考察します。

朝日カルチャー新宿校の講座は、隔週水曜日なので、4日と18日になります。10:00~12:00のワーグナー講座は《ラインの黄金》の第4場をへて、《ワルキューレ》に入ります。13:00~15:00の《ヨハネ受難曲》講座は、第7曲(アルト)と第9曲(ソプラノ)のアリアを取り上げます。

ザルツブルクの最後5年間を取り上げているいずみホールのモーツァルト・シリーズ「未来へ飛翔する精神」、あと3回となり、今月2回あります。ます6日(金)19:00から、アンドレアス・シュタイアーと佐藤俊介さんによるヴァイオリン・ソナタとピアノ・ソナタ(イ短調)のコンサート。そして14日(土)16:00から、歌劇《イドメネオ》演奏会形式の上演があります。私も参りますので、声をおかけください。

8日(日)は「まつもとバッハの会」、《ロ短調ミサ曲》講座の仕上げです。〈クレード〉の聖霊の章から最後までを取り上げます。14:00~16:30、深志教育会館です。

下旬は、改めてご案内いたします。

今月のイベント(2)2013年12月06日 15時48分40秒

12月21日(土)は、立川の「楽しいクラシックの会」例会です(10:00~12:00、錦町地域学習館)。《神々の黄昏》の第1幕を、「グンターとの盟約」と題して取り上げます。夜明け、ラインへの旅とすばらしい音楽が続いたあとにギービヒ家の館に入っていくときの不気味な転換は、《リング》の聴きどころのひとつ。クプファー演出のものをベースに使っていますが、今月はキルヒナー演出も比較してみましょう。

22日(日)の「すざかバッハの会」(14:00~16:30、須坂駅前シルキーホール)は、12月恒例のコンサート。歴史ができてきた今年は、欲を出してみました。ミニマム編成のピリオド楽器アンサンブルで、バッハのカンタータと受難曲をやろうという試みです。

カンタータは、コラール・カンタータの名曲である第9番《救いが私たちにやってきた》を、全曲演奏します。《平均律》第2巻のホ長調プレチュードで導入し、ホ長調フーガで掉尾を飾ります。

後半は、《マタイ》《ヨハネ》両受難曲から、「ペトロの否認」「見よ、神殿の幕が避けて」両場面を比較します。《マタイ》からはアルトのアリア(第39曲)とコラール、バスのレチタティーヴォとアリア(第63、64曲)。《ヨハネ》からはテノールのアリア(第13曲)とコラール、テノールのレチタティーヴォ(第34曲)とソプラノのアリア(第35曲)が、聖書場面とともに演奏されます。

盛りだくさんのプログラムを、若い人たちが張り切って準備してくださっています。声楽は、くにたちiBACHコレギウムで学び、今後古楽を演奏していこうとしている人たちで組んだクワルテット(安田祥子、高橋幸恵、大野彰展、小藤洋平)。器楽は、廣澤麻美(チェンバロ)、尾崎温子(オーボエ)、塩嶋達美(トラヴェルソ)のキャリア組に、期待の若手弦楽器奏者4人(須賀麻里江、迫間野百合、小林瑞葉、山本徹)。楽しみな顔ぶれなので、しっかり仕上げたいと思います。

仕事納めは、28日(土)13:00からの朝日カルチャー横浜校/エヴァンゲリスト講座です。カノン風変奏曲から入り、《ロ短調ミサ曲》後半部を取り上げる予定です。以上、よろしくお願いします。

啓発しあう二重奏2013年12月08日 11時19分28秒

6日(金)いずみホールにおける、シュタイアーと佐藤俊介さんのモーツァルト/ソナタ演奏会(ヴァルターのフォルテピアノとバロック・ヴァイオリン)。驚きの連続でした。

まず、若手ヴァイオリニストの中でもヴィルトゥオーゾである佐藤さんが、ここまで古楽の真髄に入ってこられていることにびっくり。音量も音色もフォルテピアノにぴたりと合わせ、徹底して、重奏を取りに行くのです。ザルツブルク時代のヴァイオリン・ソナタはまだ鍵盤優位ですから、フォルテピアノの弾く旋律にヴァイオリンが下をつけるということも多いのですが、佐藤さんは見事な抑制でその役割を果たし、シュタイアーを引き立てます。それは同時に、モーツァルトの音楽を引き立てるということです。

ヴァイオリンに主役が移ると、こちらも二倍集中して、耳を澄ます。両楽器を行き来するうちに必ず出てくるのが、両楽器が親密な対話をやりとりする部分。そこが、断然面白いのです。ヴァイオリンと鍵盤楽器がこんなに調和し、響きあい、相互に啓発しあう二重奏を聴いたことは、これまでありませんでした。ホ短調ソナタは本当に美しく、ニ長調ソナタのフィナーレには幸福感がありました。

音量は小さく、地味といえば地味なコンサートなのでしょうが、お客様の拍手は温かく、長く続き、伝わったものの大きさを物語っていました。

一般化できると思うのは、演奏において聴き合うことがいかに大切か、ということです。演奏の勉強をしておられる方は、相手を聴く、響きを聴くことのハードルを少しずつ上げていかれると、得るものが大きいと思います。聴いているつもりで聴いていない、ということも、よくありますので。

ここ数日2013年12月11日 23時37分46秒

7日(土)は大阪を早朝に発って、学術会議の委員会へ。この仕事は行政とかかわるので、自分には荷が重かったか、と思うことしきりです。終了後いったん家に戻り、次週の事業準備などしてから、日本ワーグナー協会のイベントに臨みました。

この日あったのは、ワーグナー生誕200年を記念する懸賞論文・エッセイの授賞式。私は論文部門の審査員でした。いったいどのぐらい応募があるのか半信半疑だったのですが、20代の方々が何人も、力作を提出してくださったのにはびっくり。受賞した岡田安樹浩さんの「《ラインの黄金》序奏におけるワーグナーの音響作曲の試み」など、独創的な視点によるスケールの大きな論文です。こうした論文が寄せられること自体が、三宅幸夫さんを中心とする日本ワーグナー協会の研究活動の成果だと考えています。

8日(日)は、まつもとバッハの会の《ロ短調ミサ曲》講座最終回。なつかしい松本へ、今年はよく通いました。たくさんのナンバーを残していましたが時間通り消化でき、終了後には、熱心な方々と歓談することができました。今年のハイライトはもちろん、演壇からの転落です。

9日(月)は、聖心女子大のモーツァルト講義。最後の年に入りました。今回話したのは、モーツァルトの後期をめぐる新しい考え方についてです。百家争鳴のテーマですが、ヴォルフ先生が去年出した著作”Mozart at the Gateway to his Fortune”には、革命的とも言うべき新しい考えが示されており、その考え方を取るとたしかに、従来の研究では説明できなかった事柄がいくつも、説明できるのです。もちろんこの考え方を採用すると、私も種々の点で、軌道修正しなくてはなりません。ヴォルフ先生は日本語訳を熱望しておられるので、目下実現すべく体勢を整えています。

10日(火)から、ICUの授業が始まりました。すごい風雨の中で始まったのは、私の理論に照らせば吉兆です。忘れていて、わっと思ったのは、授業が2コマ通しであることでした。準備をきちんとすればいい授業になると確信しましたが、毎回2コマとなると、ハードル高いですね。「レポートは何語で書いたらいいですか」と訊かれたのにはびっくりしました。さすが、国際大学。

終了後、池袋のオリゴ・エト・プラクティカへ。須坂でのカンタータ/受難曲演奏会へのリハーサルです。期待していた弦楽器の優秀さが立証された上、練習も大きく盛り上がって、満足しました。須坂の皆さん、ご期待ください!終了後近くのイタリアンに流れ、命の洗濯をしました。

楽しい大阪、熱い大阪2013年12月15日 23時28分48秒

13日(金)は早朝に起き、いずみホールへ。定例の企画会議です。終了後、豊中市の大阪音大に移動して、恒例の学期末特別講義を行いました。いただいている「客員教授」の肩書きは、こうして着々と生かされています。ありがたいことです。

バッハのカンタータを実例としてさまざまな研究の方法を論じた後、庄内駅近くの、いつものお店へ。先生方や大学院の学生さんだちと繰り出すこの時間が、楽しいんですよね。そのためにも、講義には万全を期しています。この日はかつてない盛り上がりとなり、某先生の鋭いツッコミに私が立ち往生するシーンもしばしば。詳細を書けないのが残念です。

14日(土)。《イドメネオ》の始まる16:00までの間に、自由時間がありました。本当ならリハーサルに立ち会うのが仕事というものですが、久々に出現した空白なので勝手をさせてもらうこととし、ユニバーサルシティに行ってみました。巨大なスペースに驚きましたが、土曜日なので人手が多く、やかましいので周囲をめぐるだけに。

お腹が空いてふと浮かんだアイデアは、明石に行って魚を食べよう!というものでした。電車で37分。おいしいお寿司を食べ、お城に登ってから、ホールに戻りました。準備で大わらわのスタッフには悪くてとても言えませんので、皆様、内密にお願いします。

私が遊んでいる間にも準備は着々と行われ、いずみホールの総力を挙げた歌劇《イドメネオ》公演が実現しました。今年のモーツァルト企画にこれを入れて、本当に良かった。20代前半のモーツァルトの5年間がすべて注ぎ込まれた、さわるとやけどをするような力作です。客席でじっくり聴き、気づいたことがいろいろありました。次の仕事に生かしたいと思います。

福井敬、林美智子、幸田浩子、並河寿美の4大スターが勢揃いし、心境著しい中井亮一さんが脇を固めるというぜいたくは、いずみホールとしてもそうそうできることではありません。熱気に満ちた客席から楽屋に行ってみると、スターの方々と大勝秀也マエストロが熱い余韻にひたっておられます。その一番熱い段階で握手できるのが、ありがたいところ。字幕の森田学さんを含め、たくさんの方にがんばっていただきました。ありがとうございます。

15日(日)は明石のツケで、必死の仕事。今週が山場になります。

きれいが一番2013年12月19日 20時54分10秒

本日、小田急沿線某所における対話。A:「とてもきれいですよ」 B:「わっ、ありがとうございます」。

なにかと誤解しやすい向きに申し上げますと、この対話、私はBです。Aはお医者様。きれいなのはもちろん、私ではない。私の大腸です。検査後、ディスプレイに並んだカラー画像をチェックしながら、このようなお言葉をいただいたのです。

ペット検診で「ポリープが疑われる」と出ていました。数年ぶりの検査でもあり、おそらくポリープ切除、「初期なのでこれで大丈夫でしょう」という流れになるかな、と想定していました。意外にも審美的なコメントを頂戴し、一安心です。

大腸検査、皆様にもぜひお勧めします。腸の洗浄プロセスが面倒ではありますが、病院慣れし、さまざまな検査を経験している私から言えば、大腸検査はラク。今日も、まったく苦痛はありませんでした。ただ、案外消耗することのようで、帰宅したらぐったりしました。

あと金・土・日とがんばれば、スケジュール消化はほぼ終わりです。だんだん、ゲームがやりたくなってきました。

バッハの《第九》コンサート2013年12月23日 22時07分07秒

予想通り、今日は疲れて、何もできませんでした。とりあえず、昨日のご報告です。

雪のちらつく須坂で、恒例の12月コンサートを開催しました。前半がバッハのカンタータ第9番《救いが私たちにやってきた》、後半が《マタイ受難曲》と《ヨハネ受難曲》の比較というプログラムです。連続講座の一部というささやかな場ではありますが、新しい始まりが、過去にいくつも生まれた大切な場。私にとっては、1年間の締めくくりのような意味合いももつコンサートでした。

ナビゲーターを務めながらも聴き手に回り、作品に惜しみなく感動して・・という経過を思い描いていましたが、現実には司会進行への配慮と演奏へのハラハラで手一杯となり、意識は、当事者百パーセントに(笑)。ピリオド楽器が会場を選ぶことも、よくわかりました。しかしそうしたことも含めて、演奏者ともども、たくさんの勉強をすることができました。会の方々、聴衆の方々の応援のおかげです。ありがとうございました。

演奏ぶりは写真が揃ったところでご紹介します。一言だけ述べておきますと、今回なによりだったのは、意欲あふれるチェロ奏者、山本徹さんを中心として、カンタータ演奏に情熱を燃やす優秀な若い人たちが、器楽に揃ったことです。声楽のユニットにはこれから古楽でやっていこうとしているiBACHの若い人たちを抜擢していたのですが、4人ともじつによく勉強してくれて、誰にとっても大きな一歩になったと思います。課題は多くとも、若い人たちが全力投球して着実に前進することほど、立ち会って気持ちのいいことはありません。自分の研究をもとにアドバイスし、演奏がどんどん変わっていくのを見るのも、ありがたく、幸せなことです。

今月のお勧めCD2013年12月25日 10時32分55秒

今月もいいものがたくさんありましたが、特選盤には、ゲルハーヘルのマーラー歌曲集(《さすらう若人の歌》《亡き子をしのぶ歌》《リュッケルト歌曲集》)を選びました。新聞を引用します。

「凛として清冽なバリトンの声が、豊饒なオーケストラからすっくと立ち上がる。まさに、オーケストラ伴奏歌曲の醍醐味だ。ゲルハーヘルの発音の美しさは、ドイツ語の詩に自らを語らせようと思えばこそ。ケント・ナガノ指揮のモントリオール響も、マーラー特有の色彩的なポリフォニーを克明に描く。」

ムーティ指揮、シカゴ響によるヴェルディ《レクイエム》(キング)は、歌い手も揃っており、横綱相撲。ただ、意外性は感じません。福間洸太朗さんのショパン(DENON)は、清潔な詩情があって好感度大。最晩年のフルネが都響を振ったサン=サーンスの交響曲第3番、フランクの交響曲、エネスコの《ルーマニア狂詩曲第1番》などのアルバムも、なつかしのいい味を満喫できます。若い人は、どう聴くのでしょうね。

自分がライナーを書いたので推薦はしませんでしたが、小倉貴久子さんの「輪舞~モーツァルトの輝き」(ALM)、奔放な演奏で、じつにすばらしいです。

年末年始の「古楽の楽しみ」2013年12月26日 07時23分41秒

今年の年末年始は、「バッハの冬のカンタータ」を聴いていただくことにしました。

30日(月)は、待降節の特集。コラール《来たれ、異邦人の救い主よ》をオルガンとBWV61の冒頭合唱曲でまず聴き、それに基づくコラール・カンタータBWV62を、ヘレヴェッヘの演奏で、さらに、待降節第4日曜日用のBWV132《道を備えよ》を、レオンハルトの演奏で聴きます。

31日(火)は、クリスマスから大晦日まで。クリスマス三が日は若き日の華麗な大作《キリスト者よ、この日を彫り刻め》BWV63で代表させ(演奏はコープマン)、次に、1724年の大晦日に初演された《新たに生まれたみどりごが》BWV122を置きます(演奏はガーディナー)。降誕を讃美しながら、新年への期待を高めるという内容のものです。少し時間が余りますので、《感謝しよう!いま年は終わりゆく》BWV28のすてきなソプラノ・アリアを、ジョアン・ランのソロで入れました。

1月1日(水)、元旦。《オルガン小曲集》の新年コラール〈あなたに喜びはある〉BWV615で開始し、1726年の新年カンタータ《主なる神よ、あなたをほめたたえます》BWV16を、BCJで。次に新年後の日曜日のための二重唱カンタータ《ああ神よ、いかに多くの胸の悩みが》BWV58を、クイケンで。BWV58はずっと前に国立音大で演奏したことがあり、なつかしい作品です。この2曲だとちょっと渋いので、有名なシンフォニアを冒頭にもつ主顕節後第3日曜日のためのカンタータ《私の片足を》BWV156を、アーノンクールの演奏で入れました。

2日(木)は厳冬期2月の作品です。まず、七旬節のための《自分の分を受けとって帰りなさい》BWV144をガーディナーで。同日用のソプラノ・ソロ・カンタータ《私は自分の幸福に満ち足りている》BWV84を、ナンシー・アージェンタのソロで。最後に、よく知られた六旬節用カンタータ《雨雪が天から落ちるように》を、フィリップ・ピエルロで。厳冬期のカンタータは短いですから、各カンタータで使われているコラールに、オルガン・バージョンを配することができました。

いずれのカンタータも美しく、聴き応えがあると思います。しかしやっていて気になったのは、その濃厚なキリスト教色が、日本のお正月に合うかどうか、ということです。たとえば、元旦に放送するBWV156《私の片足は》の歌詞は「墓穴に入っている」という流れになり、死と向かい合う、いかにもバッハ的な内容です。私自身の中にあるお正月のイメージとも、かなり違います。とはいえ、自由な放送をさせていただけるのは、ありがたいことですね。