舞台上演に接近2014年07月30日 08時10分29秒

日曜日から月曜日にかけて、ようやくモンテヴェルディ・コンサートの字幕と演出ノートを完成し、メンバーに送りました。《ウリッセの帰還》《ポッペアの戴冠》には既存のいい翻訳がありますが、やはり自分で訳してみないと、自分として気がつかないことがありますね。演出のイメージも、そこからようやく固まりました。

「演出」という言葉を使っているということは、8月1日のブルーローズのコンサートにおいて、演技が行われるということです。暗譜でやろうというみんなの意欲から始まり、オペラ的な視覚化を伴うところまで来ました。その分、楽しんでいただけると思います。「演奏会形式」と告知するのではなかったと後悔しています。

29日(金)に1日がかりの練習を行い、こうした一歩一歩の作業こそが音楽家を、コンサートを作るのだということを、感動をもって実感しました。今回はかつてなくキャストが充実していますが、間近で聴く渡邊順生さんのチェンバロもすごいです。洞察力、造形力が桁違いです。

《ポッペアの戴冠》のすばらしさを全身で浴びるにつれ、作品に対する考えが変わってきました。ストーリーには勝者と敗者があるわけですが、敗者の高貴さを表現することが重要だ、と思うようになっています。自らの哲学を実践して天上への道を歩むセネカ、厳しい追放の中にも生きる意志を示すオッターヴィア。そこには人間にとってきわめて大切なものが示されており、この作品を猟奇的に上演してはならないと、あらためて思った次第です。

まったく違うように見える《ウリッセ》と《ポッペア》にも、つなぐ意図がずいぶんあるなあとも、思うようになりました。皆様、ぜひお出かけください。