綱渡り続く2014年07月11日 10時34分10秒

毎回同じような記述になってしまって恐縮ですが、9日(水)の綱渡り記にお付き合いください。

この日は、サントリー音楽賞&佐治敬三賞の贈賞式で、私は、乾杯の発声をするという役割をいただいていました。手帳によれば、18時からのスタート。昼間はNHKの準備に費やし、16:30に家を出るために、16:00からの30分を、原稿の用意に宛てるつもりでした。3つの団体へのお祝いの言葉を、磨き込んだ形で差し上げようと思ったからです。

16:00が近づき、入浴の前に場所を確認しようと案内状を探し出したところ、髪の逆立つような記述が。そこには、授賞式17時(!)から、祝賀会18時から、と書かれていたのです。

脱兎のごとく支度し、飛びだそうとして気付いたのは、腕時計が見あたらないこと。スマホがあればいいか、と思ったら、その充電を忘れている。大騒ぎで探すこと数分、タクシーが来てしまったので、一刻を争う状況ではあるが、時計なしで駅に向かいました。

鞄の中を見ると、なんと時計が入っている。忘れないように、先に入れておいたらしいのです(それを忘れるという、よくあるパターン)。国立駅の階段を駆け上がると、そこに電車が来るという幸運に恵まれ、17:00少し前にサントリーホールにたどり着くことができました。

そうしたら意外にも、私は胸に花をつける来賓扱いで、堤剛さん以下受賞者の揃う待合室に案内されるではありませんか。会場にも、堤さん、3人の受賞代表者(鈴木雅明さん、有馬純寿さん、ローラン・テシュネさん)、文化庁長官といっしょに入場し、一列目に着席。ああ間に合ってよかったと、何度も心で反復しました。

テレビ朝日のすてきなアナウンサー、坪井直樹さんの快活な司会で会は進み、ついに乾杯のシーンへ。原稿が作れなかったので若干の破綻はありましたが、心配した立ち往生はなく、務めることができました。鈴木雅明さんは「・・とバッハ・コレギウム・ジャパン」という形での受賞なので、そのことの重要性に触れ、メンバーがいっしょに主役として輝けるような、愛のある演奏を追求して欲しい、と申し上げました。

世界的に評価のある団体の功績を本賞で顕彰する一方で、限られた聴衆を前に行われためざましいコンサート(東京現音計画の「イタリア特集Ⅰ」とアンサンブル室町の「東方綺譚」)を紹介するお手伝いができ、末席にいる人間としても嬉しい気持ちの残る、今年の授賞式でした。それにしても、間に合ってよかった!