「和」に学ぶ2014年09月16日 14時50分08秒

13日(土)のいずみホールは、今藤政太郎プロデュース「和の音を紡ぐ」。長唄『吾妻八景』『勧進帳』を中心とする、日本伝統音楽の公演でした。

洋楽のホールにこうした公演が入ると、雰囲気ががらりと変わります。お客様に和装の方が多く、舞妓さんの姿が見えるのも、邦楽ならでは。出演の方々の礼儀正しさ、舞台上に一糸乱れず正座して気迫をみなぎらせる所作も、洋楽には見られないものです。でもこうした「礼」のありようが、本当の日本なのですね。

今藤政太郎、宮田哲男両人間国宝に率いられた演奏の透徹したみごとさは、並の洋楽では太刀打ちできないほどすばらしいものでした。私があらためて痛感したのは、日本人の音感覚・言語感覚を極限まで磨き上げたこうした芸術を、本当に大事にして、伝えていかなくてはならない、ということです。なぜなら、古いものの探究にこそ、気高さがあるからです。

今藤先生のオリジナル《舟と琴》は、古事記の一節をテキストにしています。仁徳天皇の御代に、高い樹があった。それを切って舟にしたところ、枯野(からの)という、きわめて速い舟になった。壊れたその舟を焼いて残り木から琴を作ったところ、「その音七つの里に響(とよ)みき」ということで、5行の詩が添えられています。その日本語が素朴でおおらかで、本当に心に染みる。それが多彩な和楽器の響きを交えて、写実的に音楽化されているのです。

現代文明に浮かれるだけではわからない古代の尊さを、洋楽の人たちにも知っていただきたいと思います。舞台写真がなくて残念ですが、楽屋でのツーショットを2点掲載します。


笙と竿で出演された東野珠実さん。国立音大出身。


政太郎先生から国立音大の三味線クラスを受け継がれ、学生の支持も絶大の今藤長龍郎さん。ちなみに、私の身長は170cmです。


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