臨死体験、若き日の思い2014年11月12日 15時58分27秒

飛行機にはなるべく乗らないようにしている私は、新幹線で福岡を往復しました。2冊、本を買って乗車しましたが、これが正解でした。

ひとつは、立花隆さんの『臨死体験』(文春文庫)。人間は幸福な気持ちで死ねるという命題をさまざまな体験例から論理的に追究している本で、これから死ぬ人すべてを勇気づけてくれます。まあ、そこにたどりつくまでがたいへんなのでしょうが。

確かだと思うのは、大病をしていったん死の近くまで行った人は、死がそれほどこわくなくなる、ということです。ささやかな実感として、そう思います。克服できるのであれば、という前提付ですが、大病には神の恵み、という側面があると思います。経験者は「普遍的宗教性」を志向するようになる、という記述にも、ひとごととは思えないものがあります。

もう一冊は、村上春樹さんの『国境の南、太陽の西』(講談社文庫)。高名な村上さんですが、いままでは出会いの経験がありませんでした。2冊ほどかじった記憶がありますが、そのときはなぜか、出会いなし。

しかし今回は、これはすごい、世評むべなるかな、と驚嘆しました。整った文章で美しく精緻に運ばれる、正統派の文学です。『国境の南、太陽の西』からは若いころの魂の名残を揺さぶられるような気がしましたが、案外、代表作ということでもないようですね。また挑戦してみたいと思います。

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