若さはつらつ! ― 2015年12月04日 08時59分49秒
もちろん私のことではありません。11月29日にたましんRISURU小ホールで開催されたコンサートのネーミングです。後ろに、「オペラの愉しみ」とついています。「楽しいクラシックの会」(たのくら)年一回のコンサートの、2015年版です。
「たのくら」例会では3年間ワーグナーをやってきて、いまオペラの歴史に入っています。そこで、ワーグナーに焦点を当てたオペラのプログラムを作りたいと思い、ハンブルクから帰国されたバリトン歌手、近藤圭さんに出演を依頼しました。彼が大学院の修了コンサートでヴォルフラムを歌われたことを覚えていたからです。お相手は山口清子さん(ソプラノ)、伴奏は久元祐子さんと決まり、前半をヘンデルとモーツァルト、後半を《タンホイザー》抜粋を中心とするプログラムを選びました。
ヘンデルのアリア3曲で始まり、モーツァルトのヘンデル風大ピアノ・ソナタK.533の第1楽章を橋渡しとして、《ドン・ジョヴァンニ》の二重唱とアリア4曲へ。近藤さんの風貌と美声、スマートな舞台マナーはまさにドン・ジョヴァンニそのもので、二重唱など、こわいぐらいです(笑)。満場、とくに女性客を魅了。この恵まれた素質と生来のまじめさで、ぜひ大成してほしいと思います。
山口清子さんは、先日の二期会《ダナエの愛》に、ゼメレ役でデビューした方。私はまったくの初対面でしたが、いやたいしたもの、脱帽です。声に澄んだ広がりがあり、歌の中に、お名前通りの清らかさがあるのですね。とても純情で、ちょっとお茶目なツェルリーナ、という印象でした。
後半は、ヴェーゼンドンク歌曲集の《天使》(山口さん)をまず置いてから、《タンホイザー》へ。第1幕、第2幕のヴォルフラムのソロの後、第3幕〈巡礼の合唱〉をピアノで演奏し、〈エリーザベトの祈り〉から〈夕星の歌〉へ、長い間奏も含めて続ける、という構想でプログラミングしました。
〈巡礼の合唱〉から〈夕星の歌〉にかけては詩情溢れる音楽が広がり、《タンホイザー》のもっとも美しいところです。間奏はまことに単純な音だけで作られていますが、久元祐子さんの弾くベーゼンドルファーの潤いのある響きがすばらしく、大いに感激。これを聴くだけでも、意味のあるコンサートだったと思います。
〈夕星の歌〉の後奏をト長調のままエンディングにしてもよかったのですが、じっさいのスコアは切れ目なしに不気味な「呪いの動機」を出す。タンホイザーがにじり寄っていて、〈ローマ語り〉へと続いていくからです。この流れをどうしても切りたくなかったので、「呪いの動機」まで行って終わってください、とオファーしました。これがあるかないかで、ずいぶん印象が変わってきます。
リハーサルと本番を通じて感じたのは、若い人たちが作品にまじめに向かい、全力投球している姿はいいなあ、ということです。前後とても疲れていましたので、元気をいただきました。ありがとう。
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