「すべて言葉です」 ― 2016年04月21日 09時09分56秒
更新、ちょっと間が空きました。忙しかったことも確かですが、時節柄、何をどう書いたらいいのか迷っていたこともあります。災害の沈静を祈るばかりです。
16日(土)は温泉町の湯河原で、今年度の「湯河原町民大学」オープニング講演をしました。といっても事実上のコンサートで、「なつかしい世界の歌・日本の歌」と題して行いました。
これが、町民大学の60周年企画なのです。60年も前から続いているって、すごいと思われませんか?受講生の出席が、それだけで200名。温泉の恵みでお元気な高齢の方々中心ですが、穏やかないい雰囲気で、おのずとまとまりがあります。
場所は昭和な雰囲気の「観光会館」。こういう場所の心配はピアノが傷んでいたり調整に限界があったりすることですが、伴奏を一手に引き受けていただいている久元祐子さんはこういう楽器を扱う名人で、どんな楽器からもたっぷり音楽的な演奏を引き出してくれます。まさに「弘法筆を選ばず」です。
直前の出演者交代には肝を冷やしました。しかし飛び入りしてくれた井坂惠さんが、持ち前の明るさ爆発、高田三郎《くちなし》で涙を誘い、大成功でした。湯河原とゆかりをお持ちであることもわかり、これもご縁かなと思った次第です。
ブルーローズの《冬の旅》以来のステージとなった京都の田中純さん。どんなことを心がけて歌っておられますかとマイクを向けたところ、「すべて言葉です」とのお答え。そこに全力を注ぐことで、声の使い方もおのずと引き出される、とのこと。たしかにドイツ語も日本語もじつに美しく、すみずみに、ノーブルなロマンがたたえられています。
「すべて言葉です」というのは、私自身の考えとぴったり重なることに気づきました。言葉は「初めにあった」もので、後から振られた歌詞ではない。コンクールの講評でも、いつも申し上げることです。田中さん(写真右)の歌を、これからも多くの人に知って欲しいと思います。
町民の方々と心の通う、忘れがたいひととき。ありがとうございました。こういう活動を、大切にしてまいります。
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