嬉しい出版2016年04月15日 23時14分59秒

熊本の大災害、お見舞い申し上げます。復興の早からんことをお祈りします。

教育にかかわりながらも大勢の専門家を育てたとは言えない私ですが、ここへ来て、ある時期門下だった優秀な二人が、本を出してくれました。どちらも、ひいき目なしに、第一級の学問的業績だと思います。興味のおありの方、ぜひ、手にとってあげてください。

大内典(ふみ)さんは、修験道という、宗教性を除けば私とかけ離れた専門でしたが、私のもとで勉強してくれました。宮城学院女子大で教鞭を執るかたわらイギリスで博士号を取り、その成果をまとめたのが、『仏教の声の技~悟りの身体性』(法蔵館)という本です。深く掘り下げた格調高い記述に、圧倒される思いです。


もう一人は、堀朋平君です。彼はどこの大学にも行ける実力を音楽・学問両面でもっていましたが、私のもとで勉強してくれ、その後東大の美学博士課程で研鑽を積みました。『〈フランツ・シューベルト〉の誕生~喪失と再生のオデュッセイ』は彼の博士論文に基づくもので、さまざまな意味で私を超えています。


二人とも、ある時期に私の影響を受けたと思いますが、その後自分の力で努力を重ね、多くの方の教えをいただきながら伸びてくれました。本自体はもちろん、私から離れたところでできたものです。でもこういう人たちに弟子と呼べる形でかかわれたのは、人生の幸せだと思っています。彼らの今後に向けて、皆さんの忌憚ないご指導・ご鞭撻をお願いいたします。