3月のCD2016年04月04日 07時58分21秒

遅ればせながら。

新譜が出てくるたびに感心して聴いているのが、ロータス・カルテットです。日本人女性3人+ドイツ人男性1人という構成ですが、響きがドイツそのもの。渾然として一体感があり、深い森の雰囲気と香りが伝わってくるといって、誇張ではありません。ドイツにすっかり根を下ろした、ということですね。

今度の新譜は、シューベルトの弦楽四重奏曲第15番ト長調です(ライヴノーツ)。これは晩年の名曲ですが、表現は木目の肌触りで、和声の精妙さも十分。聴き応えがあります。

併録されているのは《アルペッジョーネ・ソナタ》の弦楽五重奏版で、編曲とソロはミハル・カニュカです。これもしっとりとして美しいのですが、ソロがとてもクローズアップして録音されていて、カルテットが後景に退いているのが残念。もちろんソロの旋律を埋もれさせないための工夫ですが、せっかくのからみが生きず、もどかしいです。

ちょっとびっくりしたのが、ウィーンの巨匠、ルドルフ・ブーフビンダーのバッハ・アルバム(ソニー)。このところ世評の高いピアニストですが、パルティータ第1番、第2番とイギリス組曲第3番が明晰に、きらめき豊かに演奏されていて、いいバッハになっています。近いうちに放送でイギリス組曲をやりますから、とりあげましょう。