山田耕筰のオペラ2008年02月27日 22時58分33秒

《ワルキューレ》から1日おいた2月22日、新国立劇場で、山田耕筰のオペラ《黒船》を観ました。日本最初のグランド・オペラとされる作品で、1940(昭和15)年に初演されています。太平洋戦争の始まる前の年、ということになります。若杉弘指揮、東京交響楽団による今回の上演は、序景付きの完全版としては世界初演にあたる、とのことでした。

ワーグナーのあとだし、単調かな、とも思って、勉強のために行ったのですが、どうしてどうして、たいへん面白かった。抒情歌あり、祭り囃子あり、民謡あり、尺八ありと変化に富んでいて、相当長いのに、聴き手を飽きさせない。とりわけオーケストレーションが秀逸で、さすがに山田耕筰は一流だったのだなあ、と再認識しました。

唐人お吉が主人公。釜洞祐子さんが、いつもながら役柄の化身となった熱演でした。舞台装置も美しく、いい公演でしたが、もっと明晰で、もっと自然な日本語を歌に乗せてほしいと、何人かの方にはお願いします。

これだけの作品がほとんど演奏されないのでは、宝の持ち腐れです。日本の作品に、もっと目を向けていきましょう。