スザンナは来ない!2008年04月08日 23時19分27秒

新入生企画「基礎ゼミ」は、後半に入りました。総責任者であるため連日大学に出向き、打ち上げに付き合ったりしていますので、かなり疲れてきています。金曜日まで、がんばらなくてはなりません。

しかしこの企画、新入生にはもちろんですが、教員間のコミュニケーションのためにも、たいへん役に立ちます。「お話」と呼んでいる講演や、クラスでの自己紹介談話などを通じて、平素外側しか拝見していない同僚の先生方の人間味や力量、ワールドなどがよくわかるからです。さまざまな発見があります。

それは、出演の方々が周到な準備に基づいてベストを尽くしてくださっているからに違いありません。終了した2つのお話、今井慎太郎さん(コンピューター音楽部門)と横井雅子さん(民族音楽学部門)のそれは、的確な話術といい、興味深い内容といい、引き締まった進行といい、見事なものでした。こういう取り組みこそ、新入生に伝わるものであると思います。

私が自分でステージに上がったのは、1度目のコンサートでした。プログラムは既報の通りです。ずらりと一線級の並んだ《フィガロの結婚》第3幕についてはいろいろご紹介したいのですが、スペースの関係もあり、あえて1点だけ書かせていただきます。

六重唱が終わったあとに始まる、伯爵夫人のレチタティーヴォとアリア(←オリジナルの順序)。「スザンナは来ない」と待ちわび顔で始まるのですが、ここのところで大倉由紀枝さんが出された声を、できうれば、皆さんにお届けしたいです。気高いまでの味わいをたたえたその声は、一朝一夕では、絶対に出ない(と思います)。平素はとてもさっぱりした方なのですが、深い人間性がその背後にあることを、その声は物語っていました。それが伝わるのが、音楽のすばらしさではないでしょうか。

同僚のことを文章化することが適切であるかどうかわかりませんが、このことは、どうしても記録しておきたいと思いました。他の皆様にも、本当によくやっていただきました。ありがとうございます。